誰かさんの落し物（R.N） (ページ48)

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少し前に戻っただけ。

Aちゃんと関わりを絶ってから

俺は人が変わったようにただ働いた。

時間があれば自ら自主練を入れて

なにもしない時間を作らないように、と。

ふと寝る前になるとひどく泣きたくなるが

これが自分の選んだ道だと言い聞かせた。

海「廉、最近おかしいね」

紫「…。」

ダンスレッスンの合間の休憩も

黙々と練習する俺を見て２人はそんな会話をしていた。

紫「ややこしくなんなかったら…いいんだけどな」

ポツリ呟いたその声は海人には届いてない。

ハァッ、ハァッと肩で息する俺を見て

紫「廉、ちょっと休め」

膝に手をついて息をする俺に紫耀が言う。

「や、、俺、、」

紫「なにも考えたくないのかもしんねぇけど、見てるこっちが辛い」

悲しそうな顔をする紫耀はなにかに気付いている。

水を渡してくれている紫耀の目を見て

少し笑って受け取った。

「ありがとう」

紫「無理すんな」

同じ職業で、理解し合えるこいつには

すべてお見通しなのかもしれない。

海「廉、ちょっと前までご機嫌さんだったのにね」

紫耀から受け取った水を飲む俺を見て海人は呟いた。