誰かさんの落し物（R.N） (ページ46)

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46（ゆうとside）ページ46

人生ではじめての一目惚れだった。

「今日から入るA！ゆうとお前適当に教えてやってくれ～」

いつも通りなにも考えてなさそうな口調で言う店長の方を振り向くと

よろしくお願いします、と頭を下げる女の子がいた。

「ああ、よろし、、」

言いかけたところで起き上がったその人を見て、俺はついつい動きが止まった。

髪を耳にかけながら起き上がるその仕草は、とても女性らしくて、美しくて、俺なんかが触ると壊れてしまいそうで

思わず目をそらした。

元々死ぬほど遊んでる俺なんかがこんな子と関わっちゃいけない、と瞬時に判断した。

でもAはそんなのおかまいなしで

こんな俺のことを頼りになる良い人だ、って。

バイト中も可愛らしい笑顔で何度も名前を呼ぶ君に

いつのまにか、ただ綺麗だなんて感情ではなくなって

Aのことが愛おしくなった。

毎日毎日遊んでた俺が

クラブに行って女の子といい感じになっても

あーAってこういう男嫌いそうだな

とふと思いそういう気分になれず

自然と遊びまわることもなくなった。

お前をそんな風にした子を見てみたいもんだわ

と、周りの友達に散々言われるが

もしAがこいつらのこと少しでも好きになったら、とありもしない考えがよぎって

だれにも会わすどころか、バイト先にも来させなかった。

そんなAがいま

俺じゃない別の男のことで悩んでいるのに

その姿さえ美しかった。

我ながら顔も良いはずで、Aから好かれているとは思っていた。

悔しくて悔しくてどうしようもなかった。

それと同時に

Aをこんな風にしたその男がひどく気に入らなかった。