誰かさんの落し物（R.N） (ページ45)

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目を覚ますと知らない光景が広がった。

「おはよ」

声がした方にゆっくり顔を向けると

心配そうなゆうとさんの顔があった。

「ゆ、、うとさん？」

「軽い貧血だって、寝不足と栄養失調が重なってるって先生が言ってた。

最近のお前見てていつ倒れるかなって思ってたらこれだもんな。」

苦笑いで言うゆうとさん

すぐにここが病院だと分かった。

ふと時計に目をやると朝の８時をさしていた。

「ずっといたんですか？」

声が掠れる。

「うん、しんどくない？」

「全然大丈夫、、ごめんなさいほんとに」

申し訳なくなってそう言うと

「いいよ、ほんとにお前最近ひどかったし。

なんかあった？」

ゆうとさんの優しさに言葉が詰まる。

あれから永瀬さんとは一切連絡をとっていない。

「な、、にも、、レポート忙しくてあんまり寝れてなかったからかな？」

「そんなに痩せて、よく言うよ」

どうやらゆうとさんにはお見通しのようだった。

「この間来てた彼？」

図星。

極力永瀬さんを思い出さないようにしていたから

突然の永瀬さんワードにまた胸が苦しくなる。

なにも言わない私を見て察したゆうとさんは

「図星だ(笑)話したくない？」

私はコクコクと頷いた。

少し悲しそうな顔をしたゆうとさんは

「そっか！まあでもあれだ。

俺ほんとAのこと妹みたいに可愛いと思ってるし

やっぱり心配にはなるんだわ。

辛いかもしれないけど、ご飯だけはちゃんと食べて？ね？」

頭をポンポンしながら辛そうな顔で言うゆうとさんは、どこまで良い人なんだろう。

またコクコクと頷くと

「やっべ、2限遅れたら今度こそ単位ねえわ！

ごめんな、また来る！ゆっくり休めよ！」

と、バタバタと去って行った。

ドアを出たゆうとさんが立ち止まって悲しそうに俯いていたことを私は知らない。