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タワーを持っていると、安易に振り向けない。
だから、その声の人が私の前に来てくれるまで待つ。
私の名前を呼ぶっていうことは、私のことを知らないわけがない。
「まーた矢代先生に、タワー持たされてやんの。」
生徒会長の、鍵谷陽平先輩。
「そういう暇があるなら持ってくださいよ。」
このセリフ、今まで何度言わされたことか。
でも、会長は手伝ってくれたことあんまりない。
いつも私をがんばれー!とか遠目に応援する。
応援はいらないのよ。
手伝いがほしいのよ。
「しょうがないなー、」
「え、珍しい。」
「・・・なんていうと思ったか。」
「は、」
ふふん、と得意げな顔をする。
私はそのたび、かけてるメガネを壊したくなる気持ちをこらえている。
「じゃあ、もういいです。邪魔しないでください。」
手伝ってくれないならただの時間の無駄だ。
私はサッと歩き出した。
「あ、ちょ。待てよ。」
会長は、焦りながら私のタワーの半分を持って行った。
急に軽くなり、視界が広くなる。
そのおかげで、後ろも向けるようになった。
会長は、いったん三年生の教室に入っていった。
・・・、何する気??
構うひまもないので、
私は構わず歩いた。
「ほらA!」
会長と一緒に誰かが教室からでてきた。
「コイツが手伝ってくれるって!」
・・・私が持ってたタワーの一部。
それを半ば強引に持たされている人。
「・・・先輩。」
あの時の、恥ずかしそうな真っ赤な顔が脳裏に浮かんだ。
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瑠璃(プロフ) - ハムさん» ありがとうございます!これからもぜひお付き合いください! (2017年3月21日 15時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
ハム - めっちゃキュンキュンします…/////// (2017年3月12日 16時) (レス) id: 5b86c41bd0 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!!更新がんばるので、これからもおつきあいお願いします!! (2017年3月11日 14時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - らんさん» コメントありがとうございます!!…結末はハッキリ言うともう決まってるんですけど…楽しみに待っていてください!!更新がんばります!! (2017年3月11日 14時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
あい - すごい面白いです!選手が先生なんて良いですね〜。これからも頑張ってください! (2017年3月11日 10時) (レス) id: 11e0fd23e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃 | 作成日時:2017年1月11日 16時