▽38. ページ38
*
今日の夢は、なんだったっけ。
先輩が出てきて。私に話しかけてくれて。笑ってくれて。
あぁ、そうだ。
昨日の夢も同じような夢だった。
何度も同じ夢を見るくらい、
先輩に会いたかった。
話したかった。
もし、もしもの話。
明日、先輩に会えたら、話すことができたら。
私は何を話そうか。
学校祭の準備は順調ですか?
演劇、すごいですね。
ていうか、最近暑くないですか?
そうですよね、夏ですもんね。
考えては会えなくて。
考えては会えなくて。
もしも、いつか、だったら。
そんな夢物語ばっかりで。
「・・・。」
鏡越しに先輩がいて。
夢じゃなくて。
だから今、私は昨日考えたことを話さなきゃ。
せっかくのチャンス。
先輩は無言で私の隣に立った。
どうしようって私がパニくる。
顔が熱くなる。
…だって、だって。
「…距離、近い…、ですね。」
手だけが冷たい。
この水を、頭からかぶったら顔は冷えるのに。
鏡に映る私の顔は赤かった。
「…あ、じゃあ。
終わるの待ってるから先に洗って。」
先輩が言う。
ゆっくりと、一歩一歩。
先輩は下がる。
隣のぬくもりがなくなって。
鼻をくすぐる先輩のにおいがなくなって。
初めて先輩に会った時のあの感じ。
助けてもらったとき、ギュッとしてもらったあの感じ。
「…あの、」
何を言い出そうとしたのか、後から思い出そうとしても無理だった。
それは、
「あのさ、」
先輩に言葉を遮られたからなのか。
「俺と距離…近いの嫌?」
私をまっすぐに見つめた瞳。
私の瞳に映った赤い顔。
「…あ、いや…」
「俺は…嫌じゃないけど。」
.
.
「むしろ、その、逆…だったり…。」
*
196人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃(プロフ) - ハムさん» ありがとうございます!これからもぜひお付き合いください! (2017年3月21日 15時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
ハム - めっちゃキュンキュンします…/////// (2017年3月12日 16時) (レス) id: 5b86c41bd0 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!!更新がんばるので、これからもおつきあいお願いします!! (2017年3月11日 14時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - らんさん» コメントありがとうございます!!…結末はハッキリ言うともう決まってるんですけど…楽しみに待っていてください!!更新がんばります!! (2017年3月11日 14時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
あい - すごい面白いです!選手が先生なんて良いですね〜。これからも頑張ってください! (2017年3月11日 10時) (レス) id: 11e0fd23e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瑠璃 | 作成日時:2017年1月11日 16時