セ、ン、パ、イ

▽３７． ページ37

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一階に降りたら、二階までの賑わいがうそみたいに静かだった。


唯一にぎわっているのはきっと、焼却炉室くらいなんだろうけど。
私の目的地とは正反対の位置にあるので関係ない。







体育館のトイレの横に、その洗い場がある。
男子との共同スペースなのが不安要素だったんだけど、
案の定空いていた。





それまで持っていたものを降ろすと体が一気に楽になる。





制服のブレザーを脱いで、ワイシャツの袖をまくる。

蛇口を捻って、水を出すと冷たい水が出てくる。
手が冷え切って動かせなくなる前に終わらせないと。





身体全体は夏の暑さで熱いのに、手だけ冷たい。

バケツの水をきれいにして。
汲み直して。
キレイな水に筆を入れると、水に色がつく。



この筆には、私の大好きな色である青色がついていた。
バケツの水は青色で本当にきれいだった。








ブレザーのポケットに入れていた携帯が鳴ったので、
私は手を拭いて携帯を探した。


なんだろう、クラスの人だよね。きっと。







後ろから、足音が近づいてきた。
掃除のおじさん？かな。





その人は私の後ろで止まった。
ここの洗い場も蛇口が二つしかない。







「あ、すいません。」



こんなとこでしゃがんでいたら邪魔だし。
その上、それまでここを占拠していたせいで場所がない。




携帯なんか放っておいて、
私は急いで立ち上がった。




すべてのものをどかそうとした。
洗い場に向き直ったら、正面の鏡に私と。









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＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿先輩が、映ってた。









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