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*
家に帰ると、案の定暗い玄関。
少し帰るの遅かったかなって不安になる。
でも、まだそんな遅くないし。
「ただいま。」
リビングにいる家族に一声かけ、
私は二階の自分の部屋へと向かった。
「おかえり、今日はちょっと遅かったね。」
キッチンにいたお母さんが、わざわざ声をかけに来た。
「うん。遥輝と遊んでた。」
「あれ、あんた達まだ付き合ってたっけ。」
「別れてるけど、遊びに行っちゃダメ?」
「ごめんごめん。」
遥輝くんと一緒だったんなら安心だわ。
と、お母さんは満足げにキッチンに戻っていく。
リビングの明かりがもれて少し明るかった玄関も、
お母さんが扉を閉めて暗くなった。
……遥輝くんなら安心、ね。
昔もこんな時間になった時、そういわれてた。
いつぶりだろ、懐かしい。
階段をのぼりながら思うことがあった。
じゃあ、誰なら不安になるんだよと。
……お母さんが知らない人なら不安?
それこそ……。
あ。
また、先輩が出てきた。
「うぁ〜……、」
もういやだ、先輩先輩って。
疲れる。
頭から追い出すため、私は壁に頭を打ち付けた。
ゴンっと、鈍い音。
……遥輝のチョップよりは痛くないかも。
頭に遥輝が浮かんだことが少しうれしくなった。
・・・でも、数秒後にくるこの痛み。
じんわりと、おでこが痛い。
“大丈夫?”
背後から聞こえた、あたたかくて低い声。
この声先輩じゃんかぁ!
思い出して、またまた顔が熱い。
何回も何回も頭に浮かぶのは先輩。
特に、昨日も今日も。きっと明日も。
関わることなんかないのに。
「あぁ〜!!」
どっかいけっ!って頭を打つたび、もっと濃くなる。
先輩の存在。
「……姉ちゃんが、おかしくなった。」
下から私を見上げる弟。
「うっさいな。」
見られた。恥ず。
私は一気に階段を駆け上がった。
「かあさーん。姉ちゃん頭おかしくなった!」
弟め、うっさいな。
*
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瑠璃(プロフ) - ハムさん» ありがとうございます!これからもぜひお付き合いください! (2017年3月21日 15時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
ハム - めっちゃキュンキュンします…/////// (2017年3月12日 16時) (レス) id: 5b86c41bd0 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!!更新がんばるので、これからもおつきあいお願いします!! (2017年3月11日 14時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - らんさん» コメントありがとうございます!!…結末はハッキリ言うともう決まってるんですけど…楽しみに待っていてください!!更新がんばります!! (2017年3月11日 14時) (レス) id: 578acd86f7 (このIDを非表示/違反報告)
あい - すごい面白いです!選手が先生なんて良いですね〜。これからも頑張ってください! (2017年3月11日 10時) (レス) id: 11e0fd23e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃 | 作成日時:2017年1月11日 16時