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『ソクジナ〜！』
バタバタと階段を降りたり、登ったり。
時間なんてたくさんあったのに、
直前になって慌てて用意して
いつもギリギリになってしまう。
昔からのよくないクセだ。
JN「なにー？」
『この服どう？変じゃない？』
外出する時は、
決まって彼の意見を聞く。
強制なんかじゃなくて、単に
似合ってるか似合ってないかの確認。
彼が可愛いと思ってくれたら、それで良い。
JN「…うん、可愛い。」
『ほんと？良かったぁ、』
JN「あの時この服買うか悩んでたけど、買って正解だったね」
『…ソクジナが可愛いって言ってくれたから』
JN「僕のおかげ？嬉しいなー」
ぎゅ、とハグをする。
背の高いソクジナは、容易く私を包み込む。
あったかい。
この人と、結婚してよかった。
JN「待ち合わせ何時だっけ？」
『えーと…やば、もう家出なきゃ』
JN「駅まで送るよ。そこからユリと行くんでしょ？」
『…いい？ありがとう、』
JN「……A」
『ん？なに？』
鏡を見ながら、
メイクと髪の最終チェックをする。
…リップ取れかけてるな、付け直すか。
JN「ネックレス、取れかけてるよ」
直してあげる、といって
私の後ろにソクジンがまわった。
変なところに引っかかったのかも。
不器用だから、ネックレスをつけるのは苦手で
JN「…ん、できた」
『ごめんね、ありがとう。』
JN「これ、すごく気に入ってるんだね」
『…え、』
JN「だって、付き合ってる時からずっとつけてるでしょ？相当思い入れあるんだなぁって」
『……あ、うん、まぁ…』
JN「…じゃ行こっか」
未練があるわけじゃない。
生きていれば、
記憶はだんだん薄れていくものだから、
そうならないようにって意味で。
決して、そんな
JN「着いたよ」
『ありがとう。夕飯、冷蔵庫に入れてあるから食べてね』
JN「ん、分かった。
迎えも来るから終わったら連絡して」
『うん、いってきます』
ソクジンの車を見送ったあと、
すぐにユリさんと合流した。
久しぶりに会ったのに、
まるで昨日ぶりかのように会話が弾んで。
そこから歩いて、約五分。
「うわー、懐かしい。」
『私も。すごく久しぶりです』
あの頃の、記憶が蘇ってくる。
．
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作者名：波奈(はな) | 作成日時：2021年7月17日 22時
