ジミンがつかれた嘘 ページ13
．
「…じゃ、またお昼に回診に来るからね」
『はーい。
お世辞でも美味しいとは言えないごはん食べて待ってまーす』
「こら！笑」
カーテン越し聞こえる、先生と女の子の声。
僕が入院するよりも先にいたあの子、Aちゃんはここでの生活が長いらしく、いつも先生や看護師さんたちと楽しそうに話してるのが第一印象だった。
なんで入院しているのか不思議なぐらい、
毎日明るくて、元気で。
どこが悪いのか、先生に今度教えてもらわなきゃ。
『ジミンくん、やっほー』
回診が終わったAちゃんが僕のベッドを覗いた。
「今日もご飯の悪口言ってたね、Aちゃん」
『あ、悪口だなんてひどーい！
ジミンくんだってそう思うでしょ？』
「思っていても言わないのが、大人だよ」
『なに言ってんの、高校生のくせに』
二人でハハハと笑っているとさ、ここが学校の教室みたいになるんだ。先が前後の僕たちは空き時間によく話す仲で、って時々考える。
Aちゃんみたいな子と同じクラスだったら、どれだけ楽しい毎日を送れるんだろうか。
「……ってことがあって、
それでテヒョンって奴がさ」
『なにそれ！
めっちゃ面白いんだけど、！』
目に涙を溜めて笑う、Aちゃん。
その姿を見ると心が温かくなって、目が合うと少しドキッとして、さすがの僕でもこの気持ちの正体にはもう気づいているよ。
みんなに優しくて、君がここのアイドルなんて言われるのが納得だった。
人の心を癒すような、どんな薬よりも効くんじゃないかって僕は思うんだ。
『…そういや、先生から聞いたよ。
近いうちに退院決まりそうなんだってね、』
「…そっか、聞いたんだ。
ごめんね、自分の口から話したかったのに」
『いいの、いいの！
こうやって今まで何人も友達見送ってきたから、』
「……、」
僕は、見逃さなかったよ。
笑ってる素振りを見せるけど、少し寂しそうな目をしていたこと。
「Aちゃんも、
一緒に退院できたらいいのにね」
『…じゃあ、私も退院したらさ！』
「なに？」
『二人でお出かけしようよ！映画見たり、遊園地行ったり。
そして、おしゃれなカフェでおいしいご飯食べるの！』
約束だよ、って小指を出した君が可愛くて、
僕はニヤけてしまいそうな顔を一生懸命隠してたんだよ。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
波奈(はな)(プロフ) - KBさん» KB様、コメントしていただきありがとうございます。私には勿体無いほど嬉しいお言葉でとても恐縮です。また好きだと言っていただけるような作品づくりを心がけていきたいと思います。ありがとうございます。 (2021年12月23日 20時) (
レス) id: fc68876c96 (このIDを非表示/違反報告)
KB - 嘘って悲しさだったり、切なさだったり、優しさだったり…みんなが幸せになれるわけではないんだなぁと思いました。素敵なお話ありがとうございます！波奈さんのお話とラスト、サイドストーリーが本当に大好きです！ (2021年12月22日 21時) (レス) @page18 id: 5f0961fe40 (このIDを非表示/違反報告)
秋良(プロフ) - 夜分にすいません。お互いの状況、感情がわかるサイドストーリーいいです。切ないけれどスッとお話が頭に入ってきます。波奈様の書く物語が大好きです。いつもありがとうございます。 (2021年5月11日 3時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
波奈(はな)(プロフ) - 秋良さん» 秋良様、コメントありがとうございます。話数が少ないために話の内容などはちゃめちゃな部分もありましたが（汗）また喜んでいただけるように、更新頑張ってまいります。 (2021年5月1日 20時) (レス) id: fc68876c96 (このIDを非表示/違反報告)
秋良(プロフ) - 私のコメント支離滅裂でした。ジミンの話に泣いてしまいましたが、1番好きな話はユンギの話です。 (2021年4月26日 1時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：波奈 | 作成日時：2021年4月18日 14時
