水色受け短編集

aryt(mb) 誘拐 ページ34

♪゛



朝、軽快な音楽と共に目覚めた…ではなく、大ちゃんとデートのため早く起きた俺。



9時に大ちゃんの家へ行く約束。


なので、目覚ましを7時にセットした。



なのに、6時半には俺の目はパッチリ…(笑)







･








着替えて、もうそろそろ行こうと立ち上がった時、丁度ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝとインターホンがなった。



なにか頼んでたっけ？と疑問に思いながらも、玄関に向かって鍵を開けた。





瞬間…





ﾄﾞｶｯという醜い音が床に響いて自分が押し倒されていることに気づいた。








｢前から可愛いと思ってたんだよねぇ…(笑)｣






そう、男は猫なで声で言う。





恐怖で何も言えず押し倒されている俺にハンカチで口と鼻を抑えられ、こういうのは吸っちゃいけないと分かっていても息を吸ってしまった。







･







ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙ




｢ﾁｯ…出ねえな…｣




10時半になってもゆうとが家に来なくて、電話しても鳴るのは無機質なコール音だけ。



舌打ちをしながら怒っているつもりでも、心のなかでは少しずつ焦りが出てきていた。




11時になっても来ないので、ゆうとの家へ合鍵を使って入ると玄関は酷い有様だった。






倒されている傘立て。

棚の上で割れている、置物。

転がっている、俺があげたスニーカー。

すぐ近くにゆうとがいつも持っている鞄もあった。



中を漁ると、財布､スマホ､規律にハンカチとティッシュ。



スマホに何か手がかりがないかと弄ろうとすると、かかっているロック。



片っ端から試していくと開いたロック



…俺の誕生日だった。





メッセージアプリを開くと、またしてもロックがかかっていた。



また、片っ端から試していくと、俺とゆうとが付き合った日。





その中に、奇妙なメッセージがあった。


既読していないようだが、わざとだとわかった。


ついさっきまで、俺とメールでやり取りしてた時間にも送られてきているのに、既読していないからだ。




その奇妙なメールは"今、お風呂入っているでしょ？"とか"今のは彼氏さん？"とか。




鳥肌が立つほど恐怖に包まれた。




ゆうとはストーカーされていたのだと理解した。




ﾌﾞｰｯﾌﾞｰｯ





｢ﾁｯ…うるせえな｣






ﾌﾞｰｯﾌﾞｰｯ






ﾌﾞｰｯﾌﾞｰｯ



俺の鞄から、メールが来た音が聞こえた。



1件だけなら無視しようと思っていたものの、3件も来ているので、ゆうとのスマホを置いて自分のスマホを手に取った。

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