14話 ページ16
｢紗彩どうしたの？
何か嬉しそうだけど｣
とお皿を洗っている紗彩にそう言う紗彩の母親
そうかな？と笑う紗彩
中学生の弟が確かになんて言っている
｢なに？好きな子でもできたのかしら？｣
｢いないよ
でも、なんか面白そうなことにはなりそうかな｣
と笑って言う紗彩
お皿洗い終わって歯を磨こうと洗面所に行く紗彩の後ろ姿を見て母親と弟は顔を見合わせる
｢(ほんとあんなたのしそうにバレーを話すA久しぶりに聞いた)｣
なんて電話越しで楽しそうに話すAの姿を想像していると思わず口角が上がる紗彩
｢(このままバレーできるようになればいいなぁ
そしたらまたあのAの百面相が見れそうだし)｣
と今度はAの中学生の時
みんなの応援に混じって見に行った試合を思い出す
記憶の中のAは決まってガッツポーズをして喜んだり
どんな試合でも勝っては嬉しそうに笑い
負けたら誰よりも悔しがる
｢(ほんとバレーしてる時のAは輝いてるよ
バレーのことしか頭に無さそうだし)｣
｢あ、そうだお姉ちゃん
今度A姉さんに勉強教えてもらいたい！
次のテスト難しくて｣
｢はいはい、分かったよ
ほらもう遅いから早く寝な｣
と弟の頭をぐしゃぐしゃと乱雑に撫でながらそんなことを言う紗彩
はーいと返事をして自分の部屋に行く
リビングで眠っている小学生の妹を見て自分も寝ないとなと思い部屋に戻る
｢(今日の試合Aに取ってきっと何かあったんだろうな
もうあんなAの顔見たくないからな)｣
なんて今度は最後の試合が終わり次の日のAの目を思い出す
冷たく、暗く、何も映さない目
そこから普通になるまで時間かかったなーなんて考える
｢(ってか私Aの事考えすぎでしょ
お母さんかな？まぁ親友だし？
このくらい普通だよね
うんうん、普通普通)｣
なんてほっぺをパンパンと軽く叩き水をコップ一杯飲んでからベットに入る
｢私もなにか熱中できるものがあればな｣
なんてスマホを弄りながらそう呟いた
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作者名：唯 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2021年2月1日 22時
