アイクレ (ページ12)

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＠aikure ページ12

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”俺が幼稚園の頃”

夜なかなか寝付けなくてトイレに行く

一階に下りれば、母親の声と聞き覚えのない男の声がする

ドアの隙間からリビングを覗くと、

『んっ” 』

『綺麗だ』

『ああっ』

『そんなに声出すと息子が起きちゃうよ』

『あぁっ、もうだめッ』

母親は俺の知らない男と身体を重ねていた

父親が出張に行ってることを理由に不倫していたのだった

「まま…… 」

いつもの母親じゃなくて俺は怖くなってしまい声を出してしまう

それに気付いた母親は俺のことを見た

『もっと……んん” 』

俺が存在していないかのように高い声を発し続ける

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”翌朝”

『起きなさい幼稚園行くわよ』

「やだ」

『だめでしょ？ままの言うこと聞いて』

『そんなんじゃぱぱに怒られるわよ』

「ままのほうが…ぱぱに怒られるよ…！！」

『何言ってるの、ままはいいの』

「僕のぱぱは一人だもん！！！」

『黙りなさい』

『子供は大人しくままの言うこと聞きなさい』

「ぱぱがいい！！」

「ままなんてだいきらい……！」

俺はそのとき近くにあった花瓶を床に投げた

『ちょっと！なにするの！！！』

『 ”……”なんて生まなきゃ良かったわ』

この母親の一言は鮮明に覚えている

「ぱぱに会いたい…」

そう呟くと母親は引き出しを漁り始め何かを探す

恐る恐る見ていると、

『そんなに、ぱぱのことが好きなら願い叶えてあげる』

と鋭い刃のスコップのような凶器を俺に向けてくる

「まま…やめてよ、」

『ん？ぱぱが好きなんでしょ？』

『お目目が二つあるからいけないのよ』

『余計なものはいらないの、』

「やだ……やだ…！！」

「ごめんなさい！！ままの言うこと聞くから！！」

母親は俺を、

部屋の隅っこに寄せて

手に持っていた凶器で左目をえぐった

「ギャアアアアアアッ」

床にぽたぽたと流れる血

”ぽとんっ”

初めて直で見た俺の左目

『ふっ、』

『その右目で大好きなぱぱだけを見ていればいいの』

それから俺は左目の視力を失いずっと父親だけを見てきた

父『ただいまー』

久しぶりに出張から帰ってきた父親

嬉しくて玄関まで走る

「ぱぱおかえり、」

父『どうしたんだ、その眼帯は？』

「ぼく転んじゃって…」

母『たいしたことないわよ』

父『よしよし痛かったな、一緒にお風呂はいるか！』

「うん！」

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