〝異常〟だなんて言わせない。【絶対零度】 (ページ6)

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04＿外部指導員ページ6

部活を終えて、直樹のもとへ向かおうとしたときだった。

「柏木Aちゃん？」

A「?!」

突然声をかけられて、反射的に振り返る。
そこには、さきほど見かけた男がいた。

A「えーっと…………」

菅野「あ、俺、外部指導員の菅野。よろしくね」

A「あー、成る程………………
柏木Aです。こちらこそよろしくお願いします」

外部指導員だから今まで見たことなかったんだ。
『迂闊に他の男に近づいちゃダメ。なに考えてるかわかんないからね』と直樹に言われているから、やはり警戒心は残っていた。

菅野「岡崎とバスケの試合したんだけど、結構強くてさ。どんな子なのかな～って思って部員の子に聞いたら、彼女さんがよく知ってるよって教えてくれたんだ。」

A「そうなんですか！」

直樹の話題だった。

菅野「岡崎、学校ではどんな子なの？」

A「いい子ですよ。よく勉強教えてくれるんです」

菅野「へえ、彼、成績いいんだって？」

A「うん！」

直樹のことを褒めてくれる菅野。気づけば警戒心は完全に解けていた。

A「直樹のお父さんは凄い人なんです。知ってますか？」

菅野「勿論。いやぁ、でもお父さんも幸せ者だな。息子がこんな良い子と結ばれて」

褒められているというのに、Aの顔色は悪くなった。
Aは俯いたまま、消え入りそうな声でポツリと呟いた。

A「…………お父さんは、私と直樹が付き合ってるってこと、よく思ってないみたい」

菅野「どうして？」

A「私にも分かりません」

菅野「別れようって話にはならなかったの？」

A「生憎そんな考えにはならないです。」

別れるのは嫌だけど迷惑をかけるのはもっと嫌だったから一度は別れを切り出したものの、彼は『Aには俺しかいないんだよ。別れるなんて考えられない。父さんは俺が何とかする』と言ったのを思い出した。

A「直樹待ってるんでもう行きますね」

菅野「お、時間割いてごめんな」

A「いえ。楽しかったです。また話しましょ！」

菅野「気をつけて帰れよ」

ポンポンっとAの肩を叩いて、菅野は去っていった。

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