〝異常〟だなんて言わせない。【絶対零度】 (ページ11)

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10＿堕ちていく少女ページ11

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東堂「彼女？」

菅野を名乗って直樹たちと接触していた山内が、新情報を掴めたと事務所に戻って来た。

山内「はい。それも柏木グループの一人娘です。名前は柏木A。」

小田切「その子、彼氏がサイコパスだと気づいてるの？何か異変は感じてる？」

山内「そういう様子はなかった。確実に岡崎のペースに巻き込まれてるな。」

離れるつもりはあるのかと聞いたら、ないと即答した。
その場にいた全員が顔を曇らせる。

南「じゃあ、その子も動物を殺して？」

井沢「いや、カメラに女の子なんて映ってなかった。彼女は恐らく、岡崎が犯罪者だと知らない。」

小田切「知ったら落ち込むだろうな……」

まだ見ぬ少女の落ち込む姿を想像して、俯く小田切。
山内が取り出した一枚の写真には、仲良く下校する2人が写っていた。

南「ラブラブじゃん」

皆が写真に注目するなか、井沢はひとり、離れた場所で難しい顔をしていた。

小田切「井沢さん？」

井沢「その彼女、危険かもね。」

東堂「危険？」

山内「この子も危険人物っ?!」

井沢「そうじゃなくて。笑」

焦る山内を見て、少し頬を緩め、写真を指差した。

井沢「その子、柏木Aちゃん。
話ではだいぶ彼氏に依存してるみたいだ」

小田切「岡崎って割とヤンデレな一面もあったり？」

井沢「その通り。
岡崎は彼女を縛り付けて、他の男と話せばその男を殺す勢いだろう。」

殺したことはないけど、Aと話した男子はものすごい剣幕で睨み付けられる。

井沢「彼女もきっとそれに流されて、彼を世界の中心と置いている。
だから岡崎が犯罪者だと知ったとき、どうなると思う？岡崎が逮捕なり何なり処分が下されたとき、彼女がひとりで生きられるか。」

そういう意味で、彼女は『危険』だ。
直樹と離ればなれになって生きる気力を失い、
自殺でもしたら事だ。

小田切「岡崎をこのまま見放すわけにもいかないし……かといって何の罪もない女の子を見殺しにするなんて嫌」

井沢「そうだね
もしかすると、あの子も＿＿＿＿＿＿＿。」

重い、空気が流れた。

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