音駒のマネは菅原さんの幼なじみ No.4

127 ページ10

・


誕生日なんて、

毎年考支くんとか友達が祝ってくれてただけだし

隣に彼がいてくれない今は思い出すこともなかった。



だから当然音駒のみんなにその話をしたこともないからきっとみんなも知らないだろう。

今日は土曜日だから授業がなくて友達にも会えないし。




でもそれでいいや、と強がりではなく心から思う。


私は今までほとんど考支くんからしか祝われたことがなかったから、

反応に困るし、みんなが期待してくれるような喜び方ができるか、自信が無い。




朝わざわざ考支くんが電話をかけてきてくれて、

朝から彼の声が聞けただけで本当に十分だった。







と思っていたけれど。








猫「A。今日もお疲れ様」


『猫又先生！お疲れ様です！』


いつも通り練習を終えたあとね、スクイズボトルを洗っていると、猫又先生が声をかけてくれた。



猫「ん。

今日誕生日だろう？おめでとう。いつもありがとうねぇ」


『えっ、あ、いえ！ありがとうございます！！こちらこそ！！』

不意打ちすぎてしどろもどろになってしまったけれど、慌ててお礼を言う。


猫「私は正直、マネージャーは必要ないと思っていたんだけれど、チームが明るくなったし、練習もしやすくなった。

多分Aの人柄のおかげでもあるんだろうねぇ」


『いえ、そんな……』


猫「これからもよろしく頼むよ」



先生はいつも通りのにこやかな笑顔を顔にうかべて優しく私の肩をたたいていってくれた。



さすがは猫又先生……。

マネージャーの誕生日まで覚えているのか……。


それにそんな話初めて聞いた。

なんでだか、泣きそうだった。












黒｢おしっ、準備はいいですかー？｣


『はい！バッチリです！』


黒｢そんじゃ行こっか｣


『はい！』



研磨さん1人で帰れるんかな……。

黒尾さんいなくて大丈夫なんかな……。



ゲームに全神経をそそぎながら私たちとは逆の方向へ1人で歩く研磨さんを見ながら少し心配になる。



黒｢さすがに研磨も家に帰るくらいはできるよ｣


そう言って黒尾さんがははっと笑う。


『わっ、そうですよね』




あいかわらず黒尾さんの口から出る言葉は私の心を見透かされているみたいで、ビックリするけれどどこか心地いい。

128→←126

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す