オールド・ヤンガー (ページ3)

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待って、どういうこと？

そんな言い方やったらさ、
笑顔が可愛え奴って俺のことやん。

いやいやいや…期待はアカンで。
傷つくだけ。ショックでかなるだけや。

と、自分を落ち着かせようとするけど、さっきの発言はそうとしか取れへんくて、全然落ち着かへん。

え、え？
こんなことってある？？

ないないない。ありえへん。
横山先輩は胸大きい女の子が好きやもん。
実はどっちもイケるんです～ってタイプでもなさそうやもん！

でもでも…って、自惚れと冷静さの間で悶える。

もし、そうやとしたら。

もしも、横山先輩の好きな人が俺やったら、どうする？

告白してまう？

「ふぅ、一旦落ち着こ」

なんて。幸せの絶頂にいた俺の耳に、
横山先輩が相葉先輩と付き合ってる！って噂が入ってきたんは、それから1ヶ月後のことやった。

噂、いうても割と信憑性は高い。
駅前とかショッピングセンターでの目撃情報もあるし。

…笑顔が可愛え、っていう条件に相葉先輩は当てはまる。

太陽みたいに輝いてるもん、あの人。
黒目がちな瞳を三日月形にして笑ってる先輩の事は、何回も見たことがある。

…なら、先輩の発言はなんなん？
意味分からんやん。
俺、聞き間違えでもした？勝手に文脈変えた？

『きみちゃん、この映画なんだけどさー』

学校にいれば、聞きたくない会話の１つや２つ、聞こえてまう。

前まではヨコ、って呼んでた相葉先輩は今ではきみちゃん、って呼んでる。

横山先輩も恥ずいからヤメろ、なんて口では怒ってるくせに満更でもなさそう。

『大倉、柔道部の部費なんやけど』

「金がほしけりゃ勝て、くらい強めに言えばエエんちゃう？…資料作成したから俺、帰るわ」

『え…』

俺が冷たく接してたら自然と横山先輩との距離は開いていって、そのまま距離が縮まることなく、横山先輩は卒業して行った。

…涙は、出えへんかった。

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