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「ていうか先輩、告られてましたねー」
『聞いとったん?』
「聞こえたんです」
ほぉーん、って横山先輩は聞かれてた事なんか気にしてへん様子。
なら、少しばかり踏み込んでみようか。
自分の首、絞めに行ったろか。
「…先輩の好きな人って誰っすか」
『内緒や、言うてるやん』
「えー会長の補佐っすよ、俺。教えてくださいよー」
『…ヒントならエエで』
「教えてください!」
せがんでみれば、横山先輩の真っ白な肌がほんのりピンクに染まった。
横山先輩を赤面させてんのは俺やないって分かってるけど、そんな姿にもキュンとしてまう。
『…笑ってるトコが、めっちゃ可愛え。』
やめて。
そんな風に恥ずかしそうに頬をかかないで。
相槌を打てない俺に、先輩ははにかんだ。
『…誰か、分かった?』
「分、かりません…それだけじゃ、」
『そ?…でもこれ以上は言わへんで』
疑問符が付いてへん文でも語尾を上げる、横山先輩の癖。
先輩の癖がわかるくらい、近くにおんのに、先輩の眼中に入ってへん自分が凄く惨めやと思った。
『でもさ…ホンマに分からへんの?』
「はい、全然分かりません」
『そっか…』
横山先輩は少しだけ寂しそうに目を伏せて、そのまま横目で俺の方へ視線を滑らせた。
いわゆる、流し目ってやつの破壊力は凄まじい。
横山先輩はテーブルの上に置かれた緑のファイルを抱えて、ドアノブに手をかけた。
『大倉って、自分のこと、全然分かってへんよな』
ぱたん、
ドアが閉まる音が静かに響いた。
.
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ay - 続き待ってます! (2021年6月17日 23時) (レス) id: 4247336082 (このIDを非表示/違反報告)
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