オールド・ヤンガー (ページ1)

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生徒会長。【黒緑】ページ1

『好きです…横山先輩、付き合ってください！』

委員会の資料を取りに生徒会室のドアの前までやって来て、思わず動きが止まった。

どくん、と胸が高鳴る。

初めて告白に遭遇した、って事は確かに思春期真っ只中の自分にとってビッグニュースやった。

けど、それだけやない。

「……。」

こっそり耳をすませる。

重要なのは、横山先輩が何て返事をするか。

『ごめん…付き合えへん。俺、好きな奴おんねん』

先輩の掠れた声は緊張から、か。
返事にホッと胸を撫で下ろしつつも、まだ女の子の声が聞こえてきて、体が強ばった。

『っ、先輩の好きな人って誰ですか』

何てしつこい女の子なんやろう。
そんな情報、聞きたくもない。

逃げなきゃ。自分から傷つきにいってどーすんねん。
好きな人がノンケやなんて、今さらやけど…そんな現実からは目を背けていたい。

『はは、教えへん。内緒やで』

ふ、って先輩の笑いが漏れた音が微かに聞こえた。

ドタドタ、と女の子の足音が近付いてくる。

おぉ、アカンアカン。盗み聞きしてたってバレてまう。
慌ててドアから離れて、今ここに来ました～ってのを装った。

『…っ』

でもそんな努力はいらんかったみたい。
女の子は俺の存在に気付いてないみたいに、脇目もふらずに廊下を走ってった。

廊下走ったらアカンで！なんて注意するほど、俺は鬼とちゃう。

「失礼しまーす、」

『お、大倉やん。今日の日替わり定食お前入っとったで』

「それ、大倉やなくてオクラやないすか」

俺が突っ込むと楽しそうにケラケラ笑う先輩。
俺とオクラを結び付けたんは先輩が初めて。

「生徒総会の資料取りに来ましたー」

『あぁ、あれな。そこの棚の2段目やで』

「ありがとうございますー」

自分のケータイとか財布はすぐなくして、在りかを探すくせに、こーゆー仕事に関する資料の配置を完璧に覚えてるとか、ギャップが酷い。

仕事は出来んのにプライベートでは抜けてる、みたいなさ。

あぁ、好きやな…って実感するというか。

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