棘くんと私の恋物語【呪術廻戦】

３１．棘くんと私 ページ31

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「………」




「……棘くんどうしたの？」




急に黙りこくってしまった棘
さっきまでの様子と一変し真剣で、それでいてどこか切なそうにこちらを見つめている



「高菜、すじこ」

大丈夫、Aは強くなってるよ


「えーそうかなー？」




気恥しくなって花壇の少し盛り上がった土に向目を向ける



「しゃけ、ツナツナ」

うん、お互い強くなった



棘もそれにならって花壇の方を見る


夕方は心の辺りがふわふわして
気分が良くなる

今だってこんなにも胸が高鳴っている

日差しの強さのせいか何なのか

頭もボーッとしてくる

それすらも心地良い

ずっとこの時間が続けばいいと思った








「明太子」

あのさ、2人でした約束覚えてる？







突然強い風が中庭を吹き抜けた








「……うん」





もちろん！覚えてる、覚えているとも！
叫びたいくらいだった

復帰してからずっとそれだけを励みに頑張ってきたようなものだ
まさか、棘の口からその話が出てくるとは思わなくてつい言葉を失ってしまった






「ツナマヨ」

守れたね、約束



コクりと静かに頷く
棘の言葉で胸がいっぱいになった









辺りに静寂が訪れる







耳をすませばお互いの息が聞こえてしまいそうだ







空気がぴんと張っている









Aと棘の距離は30cm


ふと、棘の小指がAの小指に触れ
心臓が跳ねる



その手はAの骨格をなぞるようにして


あっという間にAの手を包み込む








呼吸も、心臓も速い



握られた手から伝わる熱が


震えが


やけに強く感じる


神経がそこだけに集中しているようだ


全然棘の方を見れない





夕日の、焼けるような赤が2人を照らす









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「ねえ、A」

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