棘くんと私の恋物語【呪術廻戦】

１７．願いごと ページ17

ﾄﾞﾝｯ




「あっ、すいません」

棘と話してたらすれ違った人とぶつかってしまった その拍子に人の波に飲まれ、前に進めなくなる みんなはどんどん進んでいく

「うっ...」

人の多さにあわあわしていると、
人混みの間から伸びてきた手に引っ張られた



「あっ...」

「高菜？」



首を傾げながら棘が尋ねてくる
手から伝わる体温が心地いい


「うん、大丈夫......ありがとう」


よかったと棘が手を離そうとする









「もうちょっと！」



「...！！？」



「繋いでてもいい...？」









離れかけた棘の手を掴んでそう言った
棘は明らかに困っている




「ひ、人混みが苦手で...」


「しゃ、しゃけ」




ぎこちなく握り返された手



心臓が激しく波打っている



風が吹いたけど少しも寒くない



なんだか、今朝の夢みたいだなって思った



これも棘の“優しさ”なんだろうか



この“優しさ”はあんまり好きじゃない



それでもこの手は離したくなかった



そのまま鳥居の外まで2人無言のまま歩いた


「遅かったなー何してたんだー？」

「...明太子」

棘が歩調を早めてみんなの元へ戻ったので、
Aも急いで後を追った

「ちょっと人混みにのまれちゃって」

気をつけろよと真希に小突かれる
そのまま、いつも通り
みんなと五条先生宅への道のりを歩いた



「Aさんは何か願い事した？」

「え、私？うーんとね...」


その時チラッと棘と目が合った





「秘密！」





誰かの真似をして差し指を口に当ててそう言った その誰かはやられた！みたいな顔してたけど









今年もみんなと一緒に居れるように願ったことは恥ずかしいから誰にも言わない

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