あなたのことは苦手です。〈佐野玲於〉

▽　you ページ10

なんなんだ、この人は。




急に、呼び捨て。




そのせいで、全くメイクに集中できない。




ごめんなさい、佐野さん。




今日のメイク、きっとひどいです。




いつもはなんのためらいもなく見れる鏡が、今日は見れない。




ただ、メイクをするときは、どうしても顔を見なきゃいけない場面が多くあるから困る。




例えば、今。




やっぱり目が合って。




玲「手、止まってる」




『あ…すいません』




でもやっぱり佐野さんのことは少し苦手。




笑ったところ見たことないし。




第一、私にだけ素っ気ないし。




そんな嫌いですオーラ出さなくても良いじゃん。




玲「…彼氏と上手く行くと良いね」




『あ、ありがとうございます』




分からない、この人は。

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