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直接侑李から聞いたわけではないけど、
しばらくして、侑李が必死に何かを叫ぶ姿、
そして、動かなくなった背中からは、
全てがわかった。
──ガチャ
『侑李…』
私の服を掴んで震える侑李は、
いつもの侑李とちがって少し戸惑うけど、
家族が一気に三人もなくなったらそりゃそうだよね…
泣き顔をどうしても見せたくない所は、
いつも通りだけど。
侑「父さんが、伝えてくれって…」
『…私に?』
侑「この家に連れてこようとした時、
暖かくて雨をしのげてご飯もあって、
でも人間と猫がいる場所。
そう伝えたら、父さん、
嫌そうな顔をしてたんだ。
その時のこと、疑って悪かった、って。」
『最後の最後でそんなことを…?』
そんなの、私知らなかったのに。
謝ってくれる必要ないのに。
自分が死ぬ、って分かった数秒前に
私に謝るなんて…
自然と涙が出てきた。
『こんな私のところに来てくれて、
ありがとうございました…』
今は亡き、彼らに、深く、深くお辞儀をした。
ご飯をあげる時、
いつも侑李が通訳してくれた。
──お父さんから、今日もありがとう、って。
毎日、3食、欠かさずに伝えてくれた。
──ご飯変えた?、ってお姉ちゃんが。
──Aが作った料理、食べたい、ってお母さんが。
少しだけいつもと違うご飯にすれば、
すぐに気づいてくれるし、
人間のご飯をあまり食べちゃいけないのに、
そう言ってくれた。
『ちゃんと…ちゃんと埋めてあげようね…』
侑「うん…」
やっと顔を上げた侑李の目は
まだ少し赤かったけれど、
何かを決意したようだった。
侑「A、僕さ、
人間の寿命で生きられるんだ…」
『…え?
そ、それほんとに?』
さっきまで泣いていたとは思えないような
衝撃の事実に、
思わず固まってしまう。
侑「実は…ねずみの時の寿命は、
もうとっくに過ぎてる。
それなのにこんなに元気なのは、
多分人間の寿命まで生きれる、って考えていいと思うんだ。」
『で、でも侑李より先に生まれたあの3人は
ついさっき亡くなったんだよ…?』
侑「あの3人、長寿の薬を飲まされていたみたい。
寿命はとっくに過ぎてるんだ。」
『じゃあ侑李は…』
侑「80歳くらいまでは普通に生きれるよ。」
『やった…』
2つの情報が入ってきて頭が混乱してるけど、
侑李とずっと一緒にいれるのは、凄く嬉しいこと。
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ちぃ(プロフ) - やぶひかloveさん» 大変お待たせしてすみません!!たった3話ですが、移行の分も合わせて更新させていただきました。これからもよろしくお願いします!! (2017年9月7日 7時) (レス) id: ca993a15ce (このIDを非表示/違反報告)
やぶひかlove - 続きが見たいです!! (2017年9月1日 23時) (レス) id: d36bb4c71e (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - ききさん» お待たせしてすいません…汗コメント、すごく嬉しいです!これからも応援して頂けると幸いです!! (2017年5月8日 8時) (レス) id: ca993a15ce (このIDを非表示/違反報告)
きき - 早く続きが読みたいです。更新頑張ってください! (2017年4月20日 21時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - ももちねさん» コメント有岡です!更新遅れていて、ほんとに申し訳ありません泣そのようなコメント、とても感謝します!これからも応援よろしくお願いします!! (2017年2月21日 19時) (レス) id: ca993a15ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ | 作成日時:2016年12月11日 22時