雀の涙。

朝。 ページ16

Aside

私は飛び起きた。何か変な夢を見ていたらしい。冷や汗が酷い。夢の内容よく覚えていない。懐かしい人を見た気がする。

A「何も思い出せない……？」

と、独り言を呟く。モヤがかかったように思い出せない。今日もいつも通り外のスズメは元気よく鳴いている。思い出せないのは思い出せないので、諦めた。すると、朝から電話がかかってきた。

A「こんな朝から？どうせ七海だろうけど。」

そう言って、電話に出る。

七海《テレビをつけて！今すぐに！》

A「は？テレビ？なんで？」

七海《いーから！急いで！》

そう急かされてリモコンの電源ボタンをおす。テレビに映し出されたのは彼の姿だった。

A「え、うっそぉ！なんでなんで！」

七海《でしょ？！あの人だよね！》

画面に映った彼は以前より髪が伸び、後ろで結っている。めっちゃ似合っている。

A「アンタにしては、よくやった！」

七海《にしてはって何よ！サイッテー！》

A「クイズ王になってんじゃん！ヤッバ！なんだあの異名。」

七海《そんだけ頭良いってこと！アンタは天才と仲良しやったってこと！》

A「えへへっ」

七海《えへへって何よ！いいな〜！ズルい！》

A「うん、めんどくさくなりそうやで切るねw」

七海《え、ちょ、まっ》ﾌﾞﾂｯ

と、私は電話を切ってテレビをじっと見た。

A「またいつかってね……。」

そう呟いた。

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