SnowScape (ページ7)

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涼太side

私服に着替えると、さっきまで働いていた小児科エリアに戻る。

ドアを開ける前に小窓から眠っているのを見て入室。

二つのぬいぐるみ、タオルケット、翔太のお気に入りのキャップ、

康二がプレゼントしてくれた絵本。

亮平ひとりの病室が亮平の好きなもので埋まっていく。

視線を上げると来るたびに増えていく、壁に貼られた折り紙。

チューリップ、うさぎ、恐竜、、、

誰が作って持ってきてくれいるのか、わからないけれど

亮平がたくさんの人に愛されている証拠。

眠っているのをいいことに布団の上に投げ出されている

手に軽く触れる。

脱力しているから手をつなぐように緩く握っても

ふにゃふにゃされるがままに動いた。

一人でいても退屈しないように、

いや誰もいないのに余計なことを考えなくて良いように

ベッドサイドのテーブルに並べてあるおもちゃは

家からたんまり持ってきた。

つみきやミニカー等々置いていた物の中に

いつか俺が風邪を引いたときに渡した

キャラクターのクリップがあったはずなんだけど。

並べたときからほぼ触れられていないテーブル上は

何が動かされて、何がなくなっているかがすぐにわかる。

何かの拍子にどこかに落ちてしまったのかもしれないと

立ち上がってベッドの反対側サイドに移動して

すぐに見つかった。

さっき俺が握った手とは反対の手。

布団から僅かに出ている指の隙間で。

思わず力が抜けてへなへなと座り込む。

布団の上に伏せて、顔を横に向けると深い呼吸を繰り返す

亮平と同じ目線。

みんなが亮平を大事に思っている。

そして亮平も俺らからもらったものを大事にしている。

すれ違っているけれど、思いは同じ。

もう少しでこの手を伸ばして抱きしめられる時が来るのかな。

__________

人に触られている感覚に目を開ける。

どうやら亮平の布団に伏せたまま眠ってしまっていたようで。

体がバキバキ、というか首が痛いな。

のそりと顔を上げると目の前には見慣れたパジャマ。

頭に体温を感じる。

『りょ、』

驚きに言葉が詰まる。

目の前にいるのは亮平。

頭の上にあるのは亮平の小さな手。

いいこいいこと撫でている。

目が合った。

無表情で黙ったまま。

途端、

「、は...はぁはぁ」

手が引っ込められて体がぶるぶると震えだした。

いやいやと首を振る彼にかける言葉がわからなかった。