SnowScape (ページ6)

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翔太side

ドアの前で深呼吸。

昨日、康二に提案されたものが入ったエコバッグを握りしめて、

再び亮平の病室にやって来た。

これからほぼ毎日通うことになるのに

こんないちいち緊張しちゃってどうすんだ俺。

そっと入ると、穏やかに眠っている。

昨日ぶつけた椅子に気をつけて、ゆっくりと近づく。

浅い眠りを妨げないように、

家から持ってきた亮平のお気に入りのタオルケットを

広げてふんわりかけた。

できるならこの上からそのまま抱きしめたい。

言葉足らずの俺でも、まだ幼い亮平でも

誤解なく気持ちが伝えられる方法があるならば。

俺と涼太がそれぞれあげた二つのぬいぐるみに埋もれる小さな体。

『りょう、大好きだよ。』

震える、小さな小さな声で。

起こしたくない、でも伝わって欲しい

矛盾のような気持ちが頭の中をぐるぐると回る。

「っふ、...」

小さく息を吐いた亮平が寝返りを打ち、そして

さっきかけたタオルケットを引っ張りあげると

顔を埋めて再び寝息をたてた。

今は、これで十分だ。

じわりと熱くなった目頭。

ほんっといつからこんなにすぐ泣くようになっちゃったんだろ。

嗚咽が漏れないように口を押さえると、そそくさと部屋を出た。