SnowScape (ページ43)

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翔太side

『今日はもう帰るから、ほら目黒も！』

服の裾を引っ張って不満げな目黒を廊下に連れ出す。

目「ちょ、ちょっと！二人してそれぞれ隠して無理するんだから、いいタイミングだったじゃないですか。」

『原因はストレスもあるのにそんな心配かけられねーよ。』

正直亮平は家から一歩も出られないくらい怯えているし、

今日のことだってストーキングして家を特定しようとしていたと思うと

俺だって気が気じゃない。

でもこれまでされてきたことだけじゃ訴えることもできないし

追ってきていたのも俺の勘違いかもしれないんだ。

俺でもちゃんと自分の子は守れる。

自分のことは自分で頑張ろうって。

たくさんの人に迷惑をかけて、いっぱい救ってもらって

一緒に乗り越えたのに俺だけずっと成長できないなんて嫌なんだ。

『涼太には言わないで。』

渋る目黒に縋るように、でも譲らないという気持ちを込めて睨みつける。

目「俺が言えたことじゃないし、翔太くんだけにってわけじゃないんですけど。困っているときこそ相談して助け合うのが家族なんじゃないですかね。もちろん家族じゃなくても俺らだってそうしたいって思います。」

真剣な眼差しに少し怯みつつも、背を向けて歩き出す。

『とにかく、まだ今は言うときじゃないから。』

目黒の言うこともわかる。

以前のことだって一人で抱え込んでも、俺じゃどうにもできなかったし

涼太が倒れるまで頼ってくれなかったことに寂しさを覚えたのも事実。

兄弟として育ってきた俺たちは嬉しさも悲しさも分け合って生きてきた。

涼太からの愛は十分伝わっているし、俺だって大切だと思っている。

でもお互いに困っていることがあると察しておきながら助け合えない

俺たちの関係って何なのだろう。

形だけの家族なのか。それともただの同居人？

右手に張られた白い大判の傷パッド。

左手で上から握ると赤くじんわりと血がにじんだ。