SnowScape (ページ28)

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佐久間side

『りょうちゃん、おはよう。』

前髪にぴょんと寝癖をつけてタオルケットを掴んだまま、ラグの上から動かない。

目線だけ俺の方に向けて、小さな親指をちゅちゅっと吸った。

未だ翔太は何も相談してくれないけれど、

外に出るのを嫌がる亮平の様子にどうにか体を動かして遊ばせたいと

仕事としてというよりか翔太と涼太の友達としてというか

もはや俺、亮平の親戚ポジションだから、自腹で買ってきちゃったんだよね。

『じゃーん、ボールプール持ってきたんだぁ。』

いつも亮平が本を広げたり、

つみきを並べたりしているリビングの少し広々とした空間。

一人遊びが上手になってきたと思ったら、体調を崩して入院することになったり、

元気になったと思ったら、精神的に辛くなっておもちゃに手を付けなくなって。

今日もそのエリアに転がっているのは二つのぬいぐるみだけ。

拾い上げてペタンと座っている亮平の足の上に置くと、

そのもふもふに埋もれるようにころんと転がった。

『にゃは、眠たいねー。』

魔の三歳児って言われるくらいこのくらいの年齢の子って

電池切れになるまで遊ばせるのが大変なんだけど、

同年代の子よりもともと体力が少ない上に

寝不足だなんてそりゃ寝たいよな。

一旦寝かしてしまおうと頭を撫でる。

手にすり寄って気持ちよさそうに目を細めた、と思うと、

むくりと起き上がった。

『お、よよ？どした？』

「さっくぅので、あそぶ。」

好奇心旺盛だもん。新しいおもちゃ気になるよな。

＿＿＿＿＿

サークルを広げてサンタクロースのように担いできた大袋から

カラフルなボールを流し込む。

不思議そうに見つめる亮平を抱き上げて、

中に降ろそうとすると入るのを拒むように慌ててしがみ付いた。

「あ、あ、さっくんも一緒！」

狭くなっちゃうけどボール溢れないかな？

恐る恐る伸ばした手がボールに触れる。

『どう？』

「ぼーる？」

普段使っているボールは布製ばかりだから

プラスチックボールのつるつる具合に驚いてる。

いつの間にか俺と亮平のお腹の間にはたくさんのボールがあって

一人で掴んで動かしてはほにゃほにゃ唱えてくすくす笑ってる。

楽しそうな一人遊び。

あ、と思ったら急に倒れてきて聞こえる寝息。

全てを吹き飛ばしてすっかり回復できるくらいしっかり眠れますように。

亮平が安心できるならいくらでも抱っこしてるからね。