SnowScape (ページ24)

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...闇を纏うページ24

佐久間side

「ややっ、」

玄関で翔太にしがみついて離れない亮平。

寝起きはいいはずだから、眠りの質が悪かったのか

心配事があって不安定なのか、

それとも子どもだからただそういう気分なのか。

とはいえずっとこのままってわけにもいかなくって。

『おいで！りょうちゃん。』

声をかけて手を伸ばしても、見向きもせずぐずぐずと鼻を鳴らす。

ありゃこれはただ事じゃないな。

いつもなら亮平の機嫌が悪くても

それが一時的なものだとわかっているから

ペリッと引っぺがして託してくるのに

今日はしがみつかれている翔太まで離れ難いって顔してる。

翔「すぐ帰ってくるから、ごめんな。佐久間。」

不満げに反る小さな体を落とさないようにしっかり受け止め...

あーあー伸びるって。

亮平の手が翔太の着ているアップルグリーンのカーディガンを

しっかりと掴み、びよよんと引っ張っていた。

亮「ふぇ、、んん...しょーた、」

翔太の手がふわふわと頬を撫でる。

翔「今日は早く上がれるはずだから、17時半くらいに。ええと、、」

『絵本読んで、お昼ご飯食べて、お昼寝したらあっという間だよ。さっくんと一緒に待ってよ？』

えぐえぐしゃくり上げながらも、服を掴んでいた手は俺の首に移動した。

『ほら、いってらっしゃい。翔太も一人で抱え込まず頼ること！』

離れていく手を追いかけるように伸ばされた翔太の手を拳でトンと押す。

なぁんでそっちも泣きそうなのよ。

開いたドアの隙間から走り出した翔太の背中が見えた。

...遅刻しないといいけど。