SnowScape (ページ21)

今日:7 hit、昨日:15 hit、合計:167,913 hit

... ページ21

翔太side

涼太の居なくなったキッチンで洗い物の途中で手を止め、

お気に入りのマグカップに入ったコーヒーを一口。

無事仕事に復帰して亮平も退院して、

そして今日は涼太が仕事で俺は丸一日休み。

リビングのラグの上に座って子ども向けアニメを眺めている亮平を視界に入れつつ、

最近の涼太の様子を思い出す。

涼太は隠せていると思っているけど、

日が経つに連れてどんどんボロが出ていて

「先に食べたから」と言った朝ごはんも絶対に食べていない。

夜だって寝る前までは同じ部屋にいるのに、

その後リビングに移動しているのだって気づいてる。

声をかけたり、あからさまに手助けしたりすれば、

余計に意地を張るのは目に見えている。

俺にはすぐに頼れ、なんで隠したって説教する癖に自分のことになるとこれだ。

どうやったら涼太が気にしない程度に支えてあげることができるだろう。

手に持ったスポンジをぐしゅぐしゅ握り、

白い泡が手からあふれるのを見ているとなんだかため息が出た。

＿＿＿＿＿＿＿＿

「こーえん！はーやーく！」

せっかくの休みに、気持ちの良い天気。

朝からどんよりため息ついてる暇があったら、

いつもは行かないちょっと大きな公園にでも行くか！

と声をかけると、テレビを消して玄関へ一目散。

いやいやちょっと待って、俺まだ洗濯物も干してないし、

歯磨きもしてないから！

バタバタと準備して、

落ち着きのない亮平を汚れてもいい服に着替えさせ、やっと出発。

おっと。

『しーくんは汚れちゃうからお家でお留守番だよ。』

んぇーーと抗議の声を上げるけど、

こういう日のための新しい靴を取り出せば興味はすぐに移る。

『ほーら、こっちのあんよ貸して。』

かかとのずれている靴下を直しながら、ピカピカの靴を履かせた。

『自分でてくてくする？だっこする？』

抱っこ大好きな亮平ならいつもは迷わずだけど、

今日はちょっと特別感あるしやっぱり。

亮「てくてく！」

今にもひとりで飛んで行ってしまいそうなほど

興奮している亮平の手を取り、安全に気を付けながら、

普段は通らない道を途中で草花、猫、鳥など色んなものの前で

立ち止まり、ゆっくりゆっくり進んだ。