不思議な縁 ページ6
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それから30分程で一通り目を通し終わったので俺は帰る準備を始めた。
席からリュックと本を持って立ち上がると向かい側に座っていた人も顔を上げた。
目が合ったのでぺこ、と頭を下げた。
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「あの、さっきはありがとうございました」
勝利 「いえ、大した事してないですから」
「本当にありがとうございました」
勝利 「じゃあ、失礼します」
もう一度改めてお辞儀をしてその場を後にした。
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今日のお昼ご飯、桜は風磨先輩と食べるそうで俺は1人で食べることになった。
たまにはいつもと違うところに行ってみようと思い、いつも通るだけで入ったことのなかった小さな喫茶店に入る。
店員 「いらっしゃいませ。おひとり様でよろしかったですか？」
勝利 「はい」
店員 「ご案内しますね」
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案内された席は奥の方の2つ椅子が置かれた席だった。
店内は落ち着いた雰囲気で、お客さんも何人かいた。
メニューを見てコーヒーとサンドイッチを注文する。
すぐに運ばれてきたサンドイッチは結構ボリュームがあるのに学生に優しい価格設定でまた来よう、なんて思いながら食べた。
コーヒーを飲み干して伝票を片手にレジに向かう。
レジに店員さんがいなかったので、レジに置いてあったベルを鳴らした。
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店員 「すみません、お待たせ致しました」
その店員さんの顔を見て思わずえ？と声を出してしまった。
その声に店員さんもえ？と顔をあげる。
店員 「あれ、図書館の」
勝利 「どうも……」
店員 「まさかこんな所で会うと思わなかったです」
勝利 「僕もです」
お互いに思わず笑ってしまう。
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店員 「こんなに会うの何か不思議なご縁ですね」
勝利 「ですね」
後ろに並んでいるお客さんもいたので俺たちの会話はそこで終わった。
ありがとうございました、の声に背を向けて喫茶店を出た。
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作者名：桜彩 | 作成日時：2022年11月1日 23時
