第６６振 本丸での生活←長いようで短い時間(ヒュプノスside) ページ22
ヒュプノスside
ーー女神を探し、何れ程さ迷った事か。漸く小宇宙を見付け、その場に辿り着くと、神と言うには心許ない。けれども神の端くれとして、女神を守ろうとする彼等に、好感は持てたのは言うまでもない。
A「この本丸には庭園があってね、其処でお茶をしましょう」
審神者とやらの仕事を終わらせたA様は、ティーセットを持ち、私たちの元に訪れた。少し歩くと、審神者である彼女専用の温室があり、薔薇を育てているようだ。其処で話そうとの事だった。
ヒュプノス「A様は、お戻りにならぬのですか??あの世界に」
正直に聞くと、彼女は首を横に振った。
A「私は、今はAであり、荷葉です。聖戦が終わったのなら、私があの世界に戻る必要はありません。…それに…あの世界に戻ったとしても、ハーデス様が居ないのなら、私には居る意味がないのです。貴方たちも居ないのですから」
そう告げられ、女神を１人にしてしまった事が悔やまれる。
タナトス「…俺は出来れば、貴女様と共に帰って来たかったのですが。…それは叶わぬのですね??」
A「えぇ。私はこの本丸で、あの子たちと共に過ごしていきます」
A様はタナトスに近付き、抱き締めた。
タナトス「A様…!?」
A「私を見付けてくれてありがとう、タナトス。…私は、冥界の女王としてだけでなく、１人の人間としても…貴方が大好きよ」
タナトス「…勿体なきお言葉…」
タナトスから離れ、今度は私を抱き締めた。
ヒュプノス「A様…」
A「私を見付けてくれてありがとう、ヒュプノス。貴方にはいつも、迷惑を掛けてゴメンなさい。貴方も、大好きよ」
ヒュプノス「勿体なきお言葉。…明日には、彼方へ戻ります。…良いな、タナトス」
タナトスはぶっきらぼうに、わかっていると答えた。…本当に、A様には敵わない。ペルセフォネ様の生まれ変わりだからなのか、心が暖かくなるのだ。ペルセフォネ様の小宇宙故なのか、A様の優しさからなのか。ペルセフォネ様の記憶を持っていても、A様はA様として、冥界でも過ごしておられたのだ。…A様に、何事もなければ良いのだが。A様、お身体にはお気を付け下さい。
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作者名：葦原 さくら | 作成日時：2018年4月13日 9時
