第31振 主の本音と自分の本音←俺っちは…(薬研side) ページ34
薬研side
ーー平野と厠に行った帰り。平野が何故か荷葉の部屋に行きたがった。俺っちも行きたいとは思ったけど、寝てるんじゃないかと考え直した。でも、何故か起きていると思い、部屋に向かった。
A「乙女座。ーー私の星座。…会いたい…、貴方様に、お会いしたい…。どうして、私をお連れ下さらなかったのですか…??私は…貴方様と居たかっただけなのに。私の選択が、貴方様を彼処まで変えてしまった。貴方様を愛していた。…いいえ、今でも愛しています。ハーデス様…」
これは、女神としての記憶を持つ、荷葉の本心。ハーデスって、神の名前だよな??これは確か、ギリシャ神話の。…まさか、荷葉は…。そう思った瞬間、コトっと音を出してしまった。出してしまった以上、出ていくしかない。平野と2人で出ていくと、月に照らされた荷葉の頬には涙が流れた痕が見えた。
薬研「すまねぇ、聞くつもりはなかったんだが…」
平野「ゴメンなさい、荷葉様…」
A「…聞いて…居ましたか。忘れて下さい。私の戯言と、笑って頂いて構いません」
薬研「けど、荷葉の本心なんだろう??あの言葉は」
ぐっと唇を噛み締める荷葉。そんなにしたら、切れて血が出る。
平野「荷葉様、唇が切れてしまいます!!」
平野の言葉に、ハッとする荷葉。口の端が少しだけ切れている。
加州「あぁもう、なにやってんの」
A「清光、起きたの…??」
加州「起きたよ。それと、敬語外れてるよ??」
気が動転しているからか、それにも気付かなかったらしい。
加州「ゴメンね、2人とも。荷葉の事は、俺に任せて。…それと、荷葉の言った事は公言しないで。結構我慢してるから。会いたい
確かに、情緒不安定な感じだからな。その方が良いかもしれなぇ。
平野「加州様、荷葉様をお願いします」
加州「うん、任せといて。薬研、平野を早く部屋に連れて帰ってやんな。一期が心配するだろうから」
そうかもしれない。荷葉に近付き、頭をポンポンと撫でる。
薬研「朝起きて落ち着いたら、茶でも飲もうや」
平野「僕がお茶を淹れますから、飲んで下さいね」
荷葉にギュッと抱き付き、笑顔を向ける平野。
A「ありがとうございます…、薬研様…平野様…」
少しは落ち着いたのか。…俺っちたちで、なんとかしてやれたらな。…まだ桜は咲いていたな。皆誘って、花見でもするか。
第32振 花見と酒と←飲んじゃいますけど→←第30章 夜空と書類←可愛い寝顔と本音
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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2018年2月11日 21時