・ ページ2
紫「なぁしげっ、しげ、ぐす、」
赤「…もう、しつこいねん。ちょっと黙っといて。気が散って片付けられへん。」
紫「ぁ、」
あぁ、しげを怒らせてもうた。
あんなに怒ってるしげ、久しぶりに見たな。
俺が怒らせたんや、と思うと、またじわじわ涙が滲んでくる。
赤「ん。これ。」
紫「なに、?」
赤「返す。」
しげの手のひらから落ちてきたのは、指輪。
外へ出る時は外してたけど、家にいる時はずーっと薬指に付けててくれた、2人で選んだお揃いの指輪。
別れるから、か。そりゃ、そうか。
せっかく、2人でいっぱいお店回って選んだやつやのに。
もう、いらないんや。必要ないんや。
身体から力が抜けて、その場に座り込む。
あかんあかん、こんなところにいたらしげの邪魔になってしまう。
重い身体を動かして、ソファに沈む。
乱暴に自分のものを袋に詰め込んでいくしげ。
それを、ソファからぼーっと見つめてるだけの俺。
俺の、何があかんかったんやろう。
俺、しげになにしたんやろう。
思い出せ、俺。今謝っても許してもらえないかもしれへんけど、機嫌は直してくれるかもしれへん。
このまま終わりとか、いやや。
俺は、どうしたらええの。
どうしたら、しげは機嫌を直してくれる?
ほんまに、別れなあかんの、かな。
嫌なのに。別れたくないのに。
どうしたらええか、わからへん。
203人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なか | 作成日時:2023年4月1日 22時