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紫「なぁしげっ、しげ、ぐす、」

赤「…もう、しつこいねん。ちょっと黙っといて。気が散って片付けられへん。」

紫「ぁ、」


あぁ、しげを怒らせてもうた。

あんなに怒ってるしげ、久しぶりに見たな。

俺が怒らせたんや、と思うと、またじわじわ涙が滲んでくる。


赤「ん。これ。」

紫「なに、?」

赤「返す。」


しげの手のひらから落ちてきたのは、指輪。

外へ出る時は外してたけど、家にいる時はずーっと薬指に付けててくれた、2人で選んだお揃いの指輪。

別れるから、か。そりゃ、そうか。

せっかく、2人でいっぱいお店回って選んだやつやのに。

もう、いらないんや。必要ないんや。

身体から力が抜けて、その場に座り込む。

あかんあかん、こんなところにいたらしげの邪魔になってしまう。

重い身体を動かして、ソファに沈む。

乱暴に自分のものを袋に詰め込んでいくしげ。

それを、ソファからぼーっと見つめてるだけの俺。

俺の、何があかんかったんやろう。

俺、しげになにしたんやろう。

思い出せ、俺。今謝っても許してもらえないかもしれへんけど、機嫌は直してくれるかもしれへん。

このまま終わりとか、いやや。

俺は、どうしたらええの。

どうしたら、しげは機嫌を直してくれる?

ほんまに、別れなあかんの、かな。

嫌なのに。別れたくないのに。

どうしたらええか、わからへん。

・→←紫×赤



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作者名:なか | 作成日時:2023年4月1日 22時

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