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紫×青 ページ3

紫side


もう日付も明日へと変わる頃。

もう寝ようと寝る準備をしていると、インターホンが鳴った。

こんな夜中に誰やろう。

そっと玄関の扉を開ければ、全身びしょ濡れで、髪の毛から水を滴らせてただ俯いて突っ立っている流星が。


紫「…とりあえず入り。」


何があったかわからんけど、でも確かに何かがあったんやろう。

外は結構凄い雨やから、こんなに濡れているのはきっと雨のせいやろう。

でも、雨とはまた別の液体が流星の顔を濡らしていた。

とりあえずバスタオルを持ってきて、魂が抜けたようにただぼーっと突っ立っている流星を拭いてあげる。

髪の毛を拭いてあげて、そっと顔を拭いてあげる。

拭いても拭いても、すぐに濡れてしまう流星の顔。


紫「シャワー、浴びる?」


そう聞いても、流星からは何も返ってこない。

少しして流星が口を開いたかと思えば、ごめん、と今にも消えてしまいそうな声で呟いたのが聞こえてきた。


紫「謝らんといて。シャワー浴びんのなら、着替えよう。そのまんまやと風邪引くから。」


そっと手を引いて家に上がらせて、そっと服を脱がせる。

身体はじんわり熱くて、これはしんどいやろうなぁなんて考えていると。


紫「…へ?え、これどうしたん、」


そう聞いても、流星は黙ったまま。辛そうに唇をぎゅっと噛んでる。

流星の身体には、沢山の傷跡。見てるだけで痛いから、きっと流星はもっと痛い思いをしたんや。

ただ、どこでこんな傷を負ったんやろう。

沢山の跡に少し困惑しながらも、流星をぱぱっと着替えさせてあげる。

着替えが終わって、流星をそっとソファに座らせてあげる。

まだ、涙は止まらんみたい。


紫「流星、何があったか、教えてくれる?」

青「…言うたら、あかんの。ごめん、さっき見た、俺の身体のことは忘れて欲しい。」

紫「…彼氏?」


びく、と分かりやすく跳ねる流星の身体。


青「ごめん、なさい、」

紫「ん?」

青「っ、おれ、かえる、かえるっ、ごめ、」


ぼろぼろと大粒の涙を零しながら、慌てて立ち上がって玄関の方へ向かっていく流星。


紫「え、ちょっと待って!」


流星の腕を掴んで、無理やりまたソファに座らせる。

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作者名:葡萄 | 作成日時:2023年2月5日 12時

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