ライムグリーンのトリトリコ＿ .〈 Yabu.K 〉

俺とアイツ / ybin ページ44

“ あの子もきっと同じオーディション受ける子だから ”




あのエントランス


あのエレベーター


あの広い集会室








全て

あの日、俺とアイツの新たな人生が始まった場所。




16年。


人生の半分以上を“ ジャニーズのアイドルとして ”

俺とアイツは過ごしてきた。




俺は運良くJrのセンターで輝かしい日々を過ごした。


アイツは普通のJrと同じように
常にバックで、たまにセンターに立つ日々を過ごした。





お互いに不安で焦りでいっぱいだったあの頃、


突如決まったデビュー。



メンバーにはシンメがいて、まだ発展途上のJrがいて、


そして、アイツがいて。




そこから10年。


俺はセンターから離れた位置で、

アイツは最近センターに近づいて、


メンバーとして、戦友として、共に頑張っている。




「 なあ、いのお 」

『 …ん？ 』


「 正直、ここまで俺ら一緒になるって思ってた？ 」


『 んなわけ。



こんなの、奇跡としか言いようがないよ。 』





そうだよな。


“ 奇跡 ”だよな。



コイツとは

シンメでもないし、

Jrのとき同じグループでやってきたわけでもない。



ただただ、

あの日、同じ日にオーディションを受けて、

同じ日に入所が決まって、

6年経って、たまたま同じグループでデビューしただけ。




シンメの光とは違う安心感を漂わせて、

何処か掴みにくい、それでも誰よりも真面目で真摯に受け止める性格で。



コイツの考えていること、

表面上では変わっているかもしれない。

それでも、根本は変わっていない生真面目で。





そんな伊野尾が、そばにいてくれることが、

本当にありがたい。






「 なあ、いのお 」


『 んー？今度はなに？ 』






「 俺らさ、頑張ってきてよかったな



奇跡でも、お前と同じグループになれてよかったよ





16年、いつもありがとう



これからも、よろしく 」







まだまだ、俺らはこれから。

共に、高みを目指そう。



20年、30年。そしてその先も、

あの日のこと、一緒に思い出そう。









.





Fin.

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