ライムグリーンのトリトリコ＿ .〈 Yabu.K 〉

▽ ページ37

＿＿＿ キュッ キュッ……


廊下から上靴が床と擦れて鳴る音が聞こえる。
誰か来るかな。誰だろ、光かな？

そいや、光に先帰っていいよって言い忘れてたな…。






『 開いてるかなぁ〜…




あ、開いてた。 』






「 ゆ、ゆうと…。 」

『 やっ､､薮先輩っ！？ なんか…お久しぶりですね！ 』


うわ、裕翔。全然変わってない。

……久しぶりだから変わっちゃったかなって
不安あったけどもうなくなったわ。



「 久しぶり。どう？ドラムの調子は。 」

『 んー…そこまで上達はしてないけど、
新しいビート刻めるようになったかなぁ。 』

「 上達してんじゃん。 その調子で頑張れよ。 」

『 はいっ！！ 』


その目。

興味あるものを見た時の小学生みたいな
キラキラ輝かせた目。

可愛いんだよ。


「 ところで、裕翔は何しに来たの？今日部活ないだろ？ 」


『 あ、、えっと、。



あ！、薮先輩は今日チョコ貰いました？
薮先輩、かっこいいしモテモテだから貰ったんだろーなぁ。 』


こいつ、話反らせやがった。それに早口だし。

……なんか、隠してんの？



「 ああ、貰ってないよ？ 裕翔こそ、貰ったんだろ？ 」


『 んーん。貰わなかったよ。 』



は？……なんで？


裕翔の顔なら先輩ウケも同級生ウケも後輩ウケも良いのに、
わざわざ裕翔に渡すために裕翔の教室行ったやつとかいただろうに、。



「 貰わなかった、ってなんで？ 」


『 …それはっ……､｡ 』




＿＿＿ トスッ…



机の上に置かれたのは、



女子が渡していたようなカラフルさはなくて、

おしゃれな英字新聞柄の窓がついた袋に入った


小さめのカップケーキ。






『 これ渡したくて誰にも貰わなかった…




そんな理由じゃ、、だめですか…？ 』






「 え…？ 誰に？ 」


どゆこと…？ 俺…じゃないと思うし、
女の子にあげるのかな…、。


「 あの…女の子にあげる予定だったけど彼氏いたから渡せなかったって理由なら
申し訳ないけど受け取れないよ…？ 」




『 ちっ、違います！！俺はそんなことしません！！



薮先輩、嫌じゃなかったら…受け取ってください！！




俺ね……薮先輩のことがね、、大好きなんだよ。

歌う姿とか、かっこいいし、 、

笑った顔とか、かわいいし、、


いっぱい好きなところある。』

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