ライムグリーンのトリトリコ＿ .〈 Yabu.K 〉

◇ ページ28

彼は、最後の最後まで、

Hey! Say! JUMPの最年長でいてくれた。


残された時間が前々から分かっていたかのように、


メンバー1人1人に長文でメッセージが送られてきたり、

Hey! Say! JUMPに遺す歌詞がつくられていた。





薬を使えば、医療器具を使えば
命が伸びたのにも関わらず


彼は、『 メンバーに苦しんでる顔、見せなくないから 』

なんて言って、最後の最後まで彼は、笑顔でいた。


弱音吐いてほしかった。もっと気楽にいてほしかった。


なんて彼の病室に行く度思うけど、
毎回変わらず自分たちの思いが折れるのが早かった。



人に優しいところ。自分より相手優先の考え。

この優しさは彼らしさと言えばいい響きだけど、
時と場合を考えて欲しいと願うばかりだった。


それでも、やっぱり薮くんは薮くんだから。
って、最後まで薮くんの優しさに
すがり付いていたのかもしれない。



医師に言われた事に言葉が出なかった時、

日に日に痩せこけてく薮くんを見て辛くなった時、

薮くんが明らかに辛い時、


どんな時も『 大丈夫！ 』って。


薮くんの大丈夫の言葉で手を出せずにいた。


「 薮くん、もう優しさしか振りまくなんてしてないよね？

そっちに行っても人のためだけに動いてたら、
本気で光くん怒っちゃうよ〜。


なんてね。


僕、薮くんの優しさ、大好きだよ。

何回も助けてくれた薮くん、大好き。」


ずっと伝えられなかった思い。
今言ったって返事来ないなんて分かってる。


「 薮くんに会いたい…会いたいよ、。 」


メンバーの間では禁句の言葉もポロリ。








『 ゆーとっ 』

「 へ…? 薮くん…? 」


なんでもう居ないはずの薮くんが目の前にいるの、？








『 ゆーと。ふぁいと！！ 大丈夫だから！ 』


大丈夫だから……ね。


「 薮くんこそ、、俺はもう大丈夫だからね…っ」



兄さんみたいな薮くん。

優しさで包んでくれる感覚を今でも感じさせる。



その包み込まれる感覚に溺れないように、



そろそろ、前向かなきゃな。





「 薮くん、俺頑張るから、見守ってて。 」



春の風が僕らの間に吹けば、

目の前に見えた薮くんの姿は消えていた。




風が吹く前にふと見えた薮くんの顔が

弾けんばかりの笑顔でいてくれて、

嬉しくて、なんか泣けてきた。



「 よしっ、、頑張るぞー！！ 」






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.







『 可愛い弟くんをずっと見守ってなきゃね〜 』







･





Fin.

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