眠れません23 ページ23
黒尾 side
「本当に大丈夫か?」
俺は応接間のドアを閉めた後、岩泉にそう問いかけた
「?…何がだ?」
「及川がうちの大事なA様に手を出さないかだよ」
岩泉は一見、感が鋭そうに見えるが、思わぬところで天然が入ってくる
「大丈夫だろ。ああ見えてもあいつなりにちゃんと考えてる。重要な嬢さんにすぐに手を出す程、あいつは馬鹿じゃねぇ」
及川と幼なじみの岩泉だからこその説得力がある
「これからちょくちょく及川はこの屋敷に来るんだろうな」
「あぁ、おそらく。しばらくの間だと思うが、世話になるぞ」
「…そうだな」
しばらくの間、か…
その しばらくの間 ってのが、どのくらいかは分からないが、それが終われば俺たちはまた、いつも通りの日常を過ごすことになる
今日会ったばかりの俺たちを抗うことなく受け入れてくれた少女
これまで運命という運命に散々振り回されてきたのだろう
そして、最後まで運命には逆らえずに生きていくのであろう
「旦那様は何をお考えだろうな」
ふと、吐き捨てるように言った
「…確かに、やり方は普通じゃない。そのことは及川も疑ってる」
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作者名:キジにぃ | 作成日時:2017年3月14日 22時