幼女（）の個性発現した ページ3
とにかく生まれてからお喋りができるようになるまでとにかく大変だった。
何を喋ろうとしても「あ」か「う」しかほぼ発声できず、両親には正しく意図が伝わらない。赤ちゃんってこんなに大変なんだね……！ 今度から泣いてるの見ても優しく見守るね……！ と思うようになるレベルでしんどかった。
ようやくお喋りができるようになった私はとにかくたくさんお喋りした。子供はよく喋る方が可愛げがあると前世で感じたからだ。喋らない子が可愛くないのでは決してない。ただ、その方が相手が対応しやすいのだ。
前世から下手の横好きのように歌うことが好きだった私は、親の口ずさむ歌やテレビから流れてくる歌をほぼ片っ端から耳コピし歌いまくった。そんな私の愛称は『お歌のAちゃん』になった。両親はそんな私を「流石私たちの娘ね」と褒めてくれたし、同じ幼稚園の子達からも「なんかむずかしいおうたたくさんしっててすごい！！」と割と絶賛なのである。
膨大な楽曲の中には前世で嗜んでいたアニメやVOCALOIDの楽曲もあり、思わず飛び上がり、そういう«個性»と危うく誤解されるところだった。
そんな私も4歳になれば当然のように«個性»が発現した。
いつものように母親同伴のもと公園で歌を歌っていた時のことである。Blessingをそれはもう感情のせのせで歌っていたのだが、突然公園にいた疲れたサラリーマン風の人と包帯を過剰に巻いた女子高生が泣き出した。そして幼女たる私に縋り付いてきたのである。しかし何があっても最後まで歌いきるのがモットー私。歌う幼女with泣きじゃくるサラリーマン＆女子高生というカオスの一言に尽きる光景を真昼間の公園に作り出した。歌いきると今度は晴れやかな顔になった2人はひたすらにお礼を言ってきたが、私は幼女なので「いたいのなくなった？」と首を傾げる動作付きできいた。2人はとにかく私の頭を撫で回した。
さて、これだけならBlessingの歌詞に心打たれた2人のSAN値回復イベントになるだろう。しかし違う。なんとこの2人はこれより前の日にも公園にいたし、Blessingも何度か聴いてるのだ。つまり、私の«個性»によるSAN値回復ではないか。同伴していた母親はすぐに私を病院に連れていき、«個性»の診断を受けさせた。
結果、私は«ボーカロイド»と«MMD»という2つの個性を持っていることが発覚した。
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作者名：闇猫アリス | 作成日時：2019年2月17日 20時
