【d!】叩けば良いのです

３２話．目覚め ページ34

．






「…う」






薄ら目を開けると辺りは真っ暗
猛烈な体の怠さに吐き気を催して小さく呻いた






「(ここ、どこ)」






ぼやけた視界を数回の瞬きでクリアにさせる

天井を眺めながら寝起きで鈍い脳で
ここはどこだ、どうしてここに居る、と考えた






「(薬品の臭い、この音、医務室かな…)」






ツン、と鼻腔を貫く薬品の臭い
真横で聞こえてくる規則正しい機械音から導く


曲げる度に痛む首を無理矢理そちらに向けた


見えたのは自身の繋がった点滴と
脈拍や血圧などを記しているコンパクトな機械






「ぃ、む゛しつ、や」






久しぶりに発したであろう声は酷く掠れていた

何度か軽く咳き込むと
全身に鈍痛がして肺などの臓器に響いた気がする






「うぇ」






ベッド横に設置された柵を掴んで
体を起こして口元を押さえながらゴミ箱を探した

だが探している内に吐き気は治まり深呼吸する






「(てか今何時？)」






周囲の暗さからして夜だということはわかる






「(怒って、暴れて、麻酔銃撃たれたっけ)」






重苦しい怠さに耐えながら思い出し
総統にブチ切れて暴れ回ったことを掘り返した

で、止めに来た一般兵に麻酔銃を撃たれたことも






「(命中したのは確か二発程度)」






あれはくられ先生が開発した麻酔銃
大型の肉食動物でも一瞬で気絶すると聞いていた

だから自分が眠って数日は経ったのは予想できる






「(眠って医務室に運ばれたってことかな)」






それにしてもこの怠さはどうにかならないのか

肩に重りでも乗せられているかのよう
例えるなら屈強な男を一人背負っているようだ






「のど、乾いた…」






ぽつりと呟き、ベッドから降りようと
床に足を着けて体重をかけた途端に力が抜ける

膝から崩れ落ちて点滴を倒した






「いて…」






腕から針が抜けて血が垂れる

やはり数日程度は眠っていたのだろう
自分自身を支えられないくらい筋力が低下してる






医療班の人「大丈夫ですか！？」






大きな物音に気付いて
慌てて駆け寄ってきた医療班の人に介助された






「すみ゛ませんっ…」






げほっ、と咳をしているとベッドに戻される






医療班の人「Aさんっ…」


「え！？」






助けてくれたことに感謝していると
医療班の人は涙を流していて思わず大声を出した






「な、なんで泣いているんですか？」






訳が分からず、混乱したが取り敢えず慰めた

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