３２話．タイムリミット ページ34
．
「回避成功ですね」
ト『お前、詐欺師とかの才能あるんちゃうか』
総統室を出たあと自室に戻り
なんとか回避できたことを誇らしげにしていた
ト『あれほんまに騙されてたで』
「ですよね〜、私って天才かもしれません」
嘘を吐く才能なんて本来は必要ないが
役に立つこともあるんだな、と今日気付かされた
ト『あのグルッペンを騙すなんてかなりの』
「…え、と、トントンさんっ！！？」
Aはトントンの話を遮って足元を指差す
ト『きゅ、急にデカい声出して何やねん』
「あ、足が…！足が消えてますよ！！」
は？と口を開き、恐る恐る足元に視線を向けた
今まで辛うじて見えていた足が
綺麗に消えていて腰辺りまで透け始めている
ト『う、嘘やろ…』
はっ、として体を隅々まで見ると
手や腕も前より薄くなっているような気がした
ト『なんでや、なんで急に…』
「何かしましたっけ、体が消えるようなこと…」
ここ最近、トントンを憑依させることが
多くなっているがまさかそれが関係あるとか？
でも憑依させればさせるほど濃くなっていたのに
「(今までこんなことなかった)」
いくら考えても思い当たる節はない
それなのにトントンは着々と消えかけている
先程まで回避できたとか言って
盛り上がっていたが一気に現実を突き付けられた
ト『…もしかして、本体に限界がきた？』
本体は栄養剤の点滴だけで生かされている
幽体より先に限界がきても何ら不思議ではない
「(どうすればいい、どうすれば助かる…？)」
必ずトントンを元の体に戻すと約束したのに
ト『本体が死んだら俺は』
「死んだりしません、絶対に助けますから」
Aはそう言ってトントンに手を伸ばす
「大丈夫、私が必ずトントンさんを助けます」
ト『…頼んだで』
トントンが今、頼れる人はAしかいない
「(私がなんとかしなきゃいけない)」
伸ばした手はいとも簡単に通り抜ける
ト『俺が頼れるのはAだけやから…』
「はい、任せてください！」
その言葉がAの決意を固くさせていた
「(私が、私が必ずこの人を助けるんだ)」
今まで助けられていた分
自分が絶対に助けて恩返しをしなければいけない
ト『(ごめんな、A…)』
タイムリミットはすぐそこまで迫っていた
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るか(プロフ) - こんな神みたいな小説をありがとうございますすごく泣けました！！！！ (2022年10月26日 21時) (
レス) @page44 id: 8ee7b90455 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - ちょっと待って！？貴方様だったんですか！？なーちゃん！？…崇めます。うちの大好きな小説の作者様だったなんて…。この小説本当に好きです！！何回も読みました…！！tn氏の小説もっとください…。←(tn氏最推しの人) (2021年6月12日 3時) (レス) id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)
moz(プロフ) - 何周目か分かんないくらい読み込んでおります…！途中ヒヤヒヤするところで心拍数がぶち上がりました。神作者様の他の作品も読んできます〜！（追記ですがこの作品によく似た作品がありました。タイトルは 幽体離脱してた件 です。気のせいだったらすみません。） (2021年1月22日 18時) (レス) id: db48de9f7d (このIDを非表示/違反報告)
ハト - 神 (2020年12月8日 3時) (レス) id: f0bbbc5cbd (このIDを非表示/違反報告)
赤月奏楽 - 完結おめでとうございます！まだ二話くらいしか出ていなかった頃にこの作品を見つけて、ふと思い出してぶっ飛んできたら完結してました。途中はどうなるかとこちらもヒヤヒヤしましたが、最高の作品でした！神様ですね。神作品をありがとうございました！ (2020年11月22日 11時) (レス) id: 0a13c144ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なんとなく
| 作成日時：2020年8月9日 17時
