２９話．恐怖 ページ31
．
それから入隊式で挨拶をしたことや
明日の歓迎会のこと、ルームメイトのことなど
時間を忘れて盛り上がった
両親は相変わらず元気そうで
喧嘩もせずに仲良く楽しく生活しているようだ
「(なーんだ、心配要らないやん)」
夫婦水入らず、なんだか新婚の頃に戻ったみたい
『A、そっちは時間大丈夫？』
「あ、そういえば…」
心配性の父親に言われ
はっとして辺りを見回し近くの時計を確認する
あと数分で消灯時間
「(やっば、鍵かけられる！)」
その時間を過ぎたら戸締りされて入れなくなる
入隊してからそんなに日が経ってないのに
さっそく規則を破って野宿なんて勘弁してほしい
「ごめん、もう消灯時間だから…」
『謝らんでええよ！じゃあ切ろうか』
本当はまだ話していたいが何しろ時間がない
「また電話するね」
『うん！明日の歓迎会ファイトやで！』
おやすみなさいと告げて電話を終わらせ
受話器を置いた瞬間、背後に人の気配を感じた
反射的にゾクッと体が震え上がる
「(誰…！？)」
緊張で強ばり石のように硬直した
頭が真っ白になり何も出来ずにいると
ぬるり、蛇のような滑らかさで首全体に手が回る
「(やばい)」
瞬きを数回繰り返して生唾を飲み込んだ
？「A、俺やで」
突然、上から降ってくる聞き慣れた声
「ぞ、ぞむさ」
やっとの思いで呼吸して
パクパク口を動かし、ようやく名前を絞り出す
ゾ「びっくりした？」
無言でコクコク頷いた
「…死ぬかと思いました」
ゾ「それは大袈裟やろ」
そう言ってケラケラ笑うが
こっちは大真面目だ、本気で命の危機を感じた
「(めっちゃ焦ったぁ)」
まだ心臓がバクバクしている
「なんでここに？」
ゾ「部屋からちょうど見えたから来てみた」
俺の部屋あそこ、と公衆電話の斜め上を指さした
「よく私だってわかりましたね」
ゾ「Aかなーって思ったら当たったわ」
首にあるゾムの手を引き剥がして振り向く
「寮に帰らないと、消灯時間なので」
ゾ「そか、残念」
公衆電話から出るや否や優しく頬を撫でられた
ゾ「おやすみ」
「…おやすみなさい」
妙に照れくさくて急いで振り向き駆け出す
猛スピードで寮へ行くAの後ろ姿を
見えなくなるまで眺めてからゾムも本館に入った
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なんとなく(プロフ) - なくろさん» コメントありがとうございます！申し訳ありません、訂正前の文章は全て削除してしまいデータが残っていないんです。前作の拙いものでも褒めて頂けて凄く嬉しいです！次作を訂正する時には新しく作成し直そうと思っておりますので宜しくお願い致します (2022年2月21日 13時) (
レス) id: 963a8785fe (このIDを非表示/違反報告)
なくろ - 強すぎて困ってます、前作から読ませて頂いていたのですが、改正番も面白くて楽しんでます！前作も本当に大好きだったので、迷惑でなければ前作もまた読みたいです、データがもしあればでいいのですがよければ…！ 改正番本当面白いです！これからも頑張ってください！ (2022年1月19日 22時) (レス) id: 3abef81a30 (このIDを非表示/違反報告)
なんとなく(プロフ) - あいまいアインさん» コメントありがとうございます！一番最初に投稿したのもあって文章が拙く、どうしても書き直したかったので…面白いと言って頂けて嬉しいです！続編もそのうち改訂します。 (2021年5月1日 20時) (レス) id: 963a8785fe (このIDを非表示/違反報告)
あいまいアイン(プロフ) - 久々に見たら内容がすごい変わっていましたが、とても面白かったです！体調に気をつけて頑張ってください！ (2021年5月1日 17時) (レス) id: cc2cd4c541 (このIDを非表示/違反報告)
なんとなく(プロフ) - コメントありがとうございます！続編でもよろしくお願いします！ (2019年11月23日 17時) (レス) id: 963a8785fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なんとなく
| 作成日時：2019年11月15日 11時
