第十一話 ページ13
首領の意地の悪いところが見えた。
寿命を削ったり臓器が弱った上で復帰不可の者がいるとはいえ、この女は構成員を1人として殺めてこそいないのに。
やけに飄々とした態度は被った面だったのだろう、やはり隅から隅まで善良な弱者だったらしい。冷静さを失い始めた女は指遊びをして何とか気を保っている。
普通の人間の態度だと思って、改めて女を見ると、体には衣服で隠しきれない傷やあざが見受けられる。足に縫合痕も見え、目の下はくまがうっすら残っている上、変な口紅でも塗っているのだと思っていたのは、ただの血だ。
「おい、貴様。歳は幾つだ」
ふと疑問に思って、口にしてみる。
女は狼狽えながらも自らの調子を戻す機会と捉えたようで、素直に答えた。
「齢ですか?14ですが。もし必要でしたら月まで細かく申しましょうか。というか失礼じゃありませんか、女性に歳を聞くのは」
は、っと呆れたとでも言った乾いた笑を見せてくる。ここまで来て見栄を張る余裕があるとは大したものだ。
「おや、おやおや?どうしたんだい芥川君、君、彼女に関心があるのかね?なんだい、そういう歳下の女性が趣味なら早く私に伝えてくれたらよか
「それはありません」
お決まりのからかいを交わすと、釣れないなあ冗談だとも、と
指を組んだまま目線を下に外して、首領はわざとらしく何か考える素振りを見せた後にこう発言した。
「それにしても14ね。最近来た泉鏡...花ちゃん、だったかな、その子と同い年だね。
見たところ家出少女で身寄りはない。
そこでだ、芥川くん。どうだい、両手に花ってのは?」
「何故僕が...!この女はマフィアに攻撃を仕掛けたようなものです、余りにも恐れを知らない愚純。
そも見つけた時点で殺 して捨てるのが妥当でした!」
「まあそんなこと言わずに。最初からそういう可能性を入れていたのさ。
ほら、この子が使い物にならなくした13名のぶんを、少しは補ってもらおうってだけさ。どうやら異能力者だし、まだ若い。伸び代がある上、会ってみれば思ったよりずっとタフそうだ!」
ははははっと声高らかに不敵に笑った首領は、それじゃあそういうわけで。とだけ告げると裏の部屋へと去っていった。
だだっ広い部屋に沈黙だけがあった。
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作者名:寒空39 | 作成日時:2017年2月15日 0時