ねぇ、深田くん (ページ10)

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『…重い』

今はクラス全員分のノート、プリント、先生の荷物を

職員室まで運ばされている最中で。

日直とはいえ扱いが雑すぎるのでは…

黒「追試よりAちゃんのお手伝＿」

美「遅れるから早くして」

美琴と黒田くんは手伝おうとしてくれたけど

二人とも追試常連組だから、“ごめん”と言いながら追試へ向かった。

「顔色良くなったね、黒田のおかげ？」

そう去り際で美琴が小声で言ってきたけれど

本当に黒田くんのおかげだと思う。

深田くんと綾井先輩が幼馴染と聞いて、

モヤッとしていた感情はなくなった。

…完全に、とは言えないけど。

まだ不安なことはあるけど

今なら深田くんと話せるかも…

なんて思った時に、君は現れるんだ。

「Aちゃん」

そして、優しい声で私の名前を呼んでくれるの

『深田くん…』

深「今日は逃げないんだ」

好きな人の瞳には私しか映ってなくて、

私に話しかけてくれているこの状況が幸せでたまらなくて。

深「…ん？なにそれ」

深田くんがこちらに歩いてきて、距離が縮まる。

『担任に頼まれて…』

深「これ全部ひとりで？」

『うん』

深『鬼やん』

少し笑って、“俺も持つよ”と手をこちらに出す深田くん。

気持ちは嬉しい…けど

『大丈夫…！職員室まであと少しだし』

申し訳なくて、つい可愛くないこと言っちゃった。

素直にお願いすれば良かったのかな…なんて

一瞬手元への集中を切らした瞬間、

深「言わんこっちゃない」

バランスを崩して私の手から落ちそうになったノートを

深田くんが咄嗟に支えてくれる。

一気にまた縮まる距離

…私、絶対顔赤い

「ごめんなさい…」

深「Aちゃんは大人しく助けられてればいーの」

かっこいい事をサラッと言えちゃう彼は罪な人。

そして重さがなくなる、私の手元

気づけば全て深田くんが持ってくれていて、

『あ、え、半分は持たせて…！』

さすがに申し訳なさすぎて手を伸ばしたけど

深「だーめ。」

悪戯な笑顔で君はそう言うんだ。

そして、

深「あと少しだし」

なんて、さっき私が言ったことを真似するの。

ずるいよ、私だけ好きが大きくなる

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