ねぇ、深田くん (ページ7)

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「この1週間でお近付きになられたようで」

ニヤつきながら肘をつつく親友をスルーしながら

移動教室の準備をしています

美「でも＿」

『美琴も早く準備しな？』

美「残念、既に準備はできてるんです」

さりげなく話題を変えようとしたけど無理なようで。

美「私の目は誤魔化せないよ、深田に彼女でもいた？」

『……』

美「はい図星」

『まだ分かんない…から…！』

深田くんに誘われて一緒に帰ったあの日から

校内ですれ違うとお互いに挨拶をするようになり

ほんの少しだけど、見ているだけの頃より確実に進展はした。

けど…

ほんの少し進展しただけで、きっと浮かれすぎてたんだと思う。

深田くんは、きっと私なんて何とも思ってない。

『やっぱり彼女、なのかなぁ…』

美「話聞く限り何とも言えないわ」

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いつも通り私の特等席でサッカー部の練習を見てた今朝。

深田くんが狙いを定めてシュートを決める

…ここまでは朝から幸せで胸がいっぱいだったけど

「りゅうせーい！」

校庭から自分の教室まではっきり聞こえた、女の人の声。

その人は深田くんと笑顔でハイタッチを交わして

そのまま彼の頭にポンポンと触れる。

ジーンと感じる胸の痛み

苦しい、見たくない、なのに目が離せない。

そして、ふと思い出す

『あ、あの人…』

深田くんにお礼を言いに言った日、

“「竜生」” と、深田くんを私の元へ呼んでくれた先輩だと。

あの時も思ったけど、やっぱりそういう関係なんだろうか…

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美「まだ彼女って決まったわけじゃないから」

次の授業がある教室に向かう途中、

フォローしてくれる美琴の言葉も今は耳に入らない

その理由は、今朝の事とはまた別にあって。

「あの人だよ、馴れ馴れしい女」

「一緒に帰るとか、マジでない」

「身の程知らずすぎて」

最近増えた私への攻撃的な言葉たち。

全部聞こえてるし、身の程知らずなんて自分が1番分かってる

美「A…」

『気にしてないよ、大丈夫』

こんな思いするなら、ただ見てるだけの方が幸せだったのかな。

そんなことを思った瞬間、

『……！』

今1番会いたくなくて、でも好きな人の姿を見つけてしまう。

いつもなら、気づいて…！と思いながら見つめるけど

すぐに目を背けて、気付かれないようにした。

今は、深田くんの顔を見てちゃんと笑える自信がないから

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