ねぇ、深田くん (ページ5)

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黒「追試ヤバいんだけど」

美「今恋バナしてんだから追試の話やめて？

現実のこと考えたくない」

深田くんに"またね“と言われた日から

1週間くらい経ったけれど、特に進展はなくて。

美琴があの日から前以上に

深田くんの話題を出すようになったからか

黒「俺もう深田の話飽きたんだけどー」

と、黒田くんは呆れた様子。

美「進展させるには、偶然どっかで会うしかないよなー…

それか偶然装って待ち伏せでもする？」

『それはただの迷惑行為だから』

最近は、毎日教室に残って深田くんの話をして帰る、

そんなことが当たり前のようになっていて。

今日も数十分くらい話をして

追試勉強組の2人と別れて靴箱に向かう。

ここまではいつも通りだったけど

廊下の角を曲がると

『え…』

すぐに見つけてしまったサッカーウェア姿の好きな人

“偶然どっかで会うしかないよなー”

先程の美琴の何気ない一言が

こんなにも早く実現するなんて思うはずがなくて。

今日はついてるな、タオルで汗を拭う仕草でさえかっこいい、

なんて見つめながら思っていると、ばちっと彼と目が合う。

「あれ、Aちゃんだ」

見すぎたかな、なんて一瞬思ったけど

好きな人が私を見つけて、自分に向かって歩いてきてくれる、

私はそれだけで胸がいっぱいで。

『久しぶり。部活終わり？』

ニヤけてしまいそうな気持ちを抑えて

平然を装いながらそう聞いてみる

深「うん、今日練習メニュー終わった部員から

早く帰れる日なんだよね」

『そうなんだ、お疲れ様』

教室から深田くんに会うまで

サッカーウェアを着た人はいなかったから

きっと最初に練習メニューを終えたんだろうな、

さすがエースだな、なんて思ったり。

深「Aちゃんは今から帰り？」

『うん、ちょうど帰るとこだよ』

そう言うと、なにかを思い出したような顔をして

深「嫌じゃなければ、一緒に帰んない？」

なんてさらっと言うから、また鼓動が早くなる。

もちろん誘いを断る理由なんてないから

私がすぐに“いいよ”と返事をすれば

オーバーだよって笑いそうになるくらい深田くんは喜んでくれて。

深「じゃあ俺、すぐ着替えてくるから待ってて」

“五分で戻るからー！”なんて言いながら

小走りをする深田くんの後ろ姿を見つめて、

好きな人のことなら、いつまでも待つよ

そう心の中で呟いた

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