ねぇ、深田くん (ページ14)

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美「で、それを言った直後に恥ずかしくなって

傘を深田に渡し、自分はずぶ濡れになりながら帰宅したと…」

『…はい』

深田くんに “私といる時だけは我儘でいてほしい” なんて

恥ずかしすぎる事を言ってしまった翌朝

美「つまりAは言い逃げしたってことだ？」

『そういうことになります、』

そう、あの後私は一方的に傘を押し付けて深田くんから逃げた。

美「なんで逃げちゃうかなー」

『沈黙に耐えられなくてつい…絶対お節介すぎて嫌われた…』

「そんなことないんじゃない？俺なら嬉しいし」

いつから聞いてたの…！なんて聞く間もなく

突然現れた黒田くんは、

黒「あとAちゃん、お客さん来てるよ」

なんて教室のドアに視線を向けながら言う。

『お客さん…？』

黒田くんに言われるまま“お客さん”の方を見ると、

『…あ、』

生徒手帳届けてくれたあの日と同じだ

深田くんが私に向かって歩いてきていて、鼓動が早くなるの。

そして爽やかな笑顔で

深「Aちゃん、ちょっといい？」

なんていつも通り話しかける。

当たり前だけど、ドキドキしているのは私だけ。

それが少し悔しくて、でも鼓動は早まる一方で。

『ちょっと待っ＿』

一旦落ち着くために、“待って” そう言おうとしたのに

深「やだ、待たない」

急に腕を掴まれて、更に鼓動は早まる。

触れられている腕はもちろん、顔も熱くなって

恥ずかしくて、今すぐ目を逸らしたいのに…

深「Aちゃんの前では我儘になっていいんでしょ？」

悪戯っぽい顔でそう言う深田くんから、目が離せない

『う、うん…』

鼓動を落ち着かせながらゆっくり頷けば

満足そうに笑う好きな人。

深「じゃあ、さっそく俺からの我儘ね」

少し身構えて次の言葉を待てば、

『え…逆に深田くんはそれでいいの、？』

深「嫌だったらAちゃんに言わんよ笑」

予想外の我儘…というかお誘い？にまた胸が高鳴る。

深「じゃあ、よろしくね！楽しみにしてる」

…ちょっと期待しちゃうなぁ、なんてね

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