ねぇ、深田くん (ページ12)

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美「今更他クラスと親睦深めるって誰得？」

『高一の時やるべきだよね』

帰りのHRで担任から知らされた親睦を深める為に

学年で実行することになったというオリエンテーション合宿。

それぞれ複数人グループで行動するんだけど、

その “複数人グループ” の条件が面倒で…

美「他クラスの男子なんて知らないわ」

『黒田くんの友達入れてもらうしかないよね…』

その面倒臭い条件はというと、

他クラスの異性を含めた男女混合グループを作ること。

この条件を聞いた瞬間、美琴と絶望した

まあ、今も帰り道歩きながら絶望してるんだけど。

美「いつも言ってる…にゃんにゃんだっけ？」

『そうそう、内村くんだったと思う』

仲良い異性なんて黒田くんしかいないのに。

他クラスは100歩譲って分かるとして…異性である意味とは。

ただでさえ昨日の綾井先輩と深田くんのことで

頭がいっぱいなのに、これ以上悩ませないでほしい

『はぁ……』

美「まだ朝練見られなかったこと引きずってんの？」

『…朝練のことはもう気にしてない』

うそ、本当はちょっと引きずってる

気づかないふりをしている深田くんの気持ちを忘れたくて

サッカー部の朝練を見て気分を上げようと思ってたのに、

急に雨が降り出して中止になってしまった。

『ほんとついてない…』

美「Aはいつも深田のことで＿って！」

いつも通り話していた美琴が、いきなり目を見開いてこちらを見る。

何かと思えば、“閃いた”と言わんばかりの顔で

美「複数人グループ、深田誘えばいいじゃん」

なんて言ってくるの。

そして、

美「悩む必要なかったじゃん、あとは頼んだよっ」

肩をポンっと叩いて、私とは逆方向の電車に乗り込んで行った美琴。

……鬼だ、あの人

『…絶対無理』

あれから電車の中で最寄りに着くまで考えたけど

誘うなんてできるわけがない。

美琴に“無理”とだけ連絡をして改札を出ると

「…え、」

見覚えがありすぎる人が全身びしょ濡れで立ち尽くしていて。

前髪で表情までは分からないけど、

いつもの明るい彼の雰囲気ではない。

気づいた時には、深田くんの元へ走り出していた。

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