ねぇ、深田くん (ページ2)

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美「ねー、いつになったら深田に話しかけるの？」

『最近そればっかり聞いてくるじゃん』

美「Aがあまりにも行動しないから聞いてんの」

とある日の昼休み、

いつものように深田くんのことを聞いてくる美琴と

黒「これめっちゃうまい」

しっぽをふりふりするわんちゃんみたいな目で

焼きそばパンを頬張ってる黒田くん。

美「もう1年も経ってるんだよ？」

『そうだけどさ…』

美「行動しないと誰かに取られちゃうかもよ」

…そんなの、私が1番分かってる

深田くんはモテるもん

彼女はいないって噂だけど

もしかしたら現在進行形で彼女がいるかもしれない。

想像するだけで、苦しい

美「そんな顔するんだったら行動あるのみ！」

『心の準備を…！』

美「またそうやって逃げようとしない」

図星をつかれてなにも言えない…

どうしようかと俯きかけたと同時に黒田くんが口を開いた

黒「なんか向こう騒がしい」

美「女子の群がりできてんじゃん」

黒田くんが言う“向こう”を見ると

頬を赤らめてる女の子が複数人いて。

『なにかあっ＿』

一瞬で頭が真っ白になった

美「…え」

黒「……」

「えーっと…」

いきなり教室の入口に好きな人が現れたから。

そして、

「あー！」

片想いしてる相手が、

話したこともない好きな人が、

「みっけた」

私の方へ間違いなく近づいてきているから。

クラス中の視線が私達に集まっていることがわかる

胸の鼓動が早くて聞こえてしまいそうで

あぁ…絶対に顔赤いな、なんて思うことしかできなくて。

「2年C組のAAちゃん、だよね？」

『どうして…名前…』

「君の生徒手帳拾ったんだよね。

俺、2年A組の深田竜生って言います」

『……へ、』

好きな人を前に間抜けな声しか出せない自分が情けない…

どうすればいいのか分からなくて

その場で固まっていると、

深「はい、どうぞ」

深田くんは生徒手帳を渡してくれて

優しく微笑みかけてくれた

この状況を必死に頭で理解しようとしたけど

すぐには難しくて。

深「じゃ、俺いくね」

と、深田くんは教室を後にしてしまった。

美「え…まさかの展開…」

黒「マジか…」

深田くんが目の前にいて上の空だったから気づかなかったけど…

私、大事なこと言い忘れてるよね…

あ…

『…お礼！言ってない…！』

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