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私は孤児だった。身内も居ず、ただ一人。

其れでも中学生。ホームレスながらも何とかやって居た。



ある日、昼食代を求めて自販機の下を探って居たら(←?)、目の前に一人の男が現れた。

その男は如何やら私が産まれる前に死んだ父の部下らしい。

実は父は麻薬取引をしていたらしく、父が死んでからは散々だったそう。

だから私の名前を借りてもう一度立て直したいと。

闇商売で一番儲かるといえど、実に乗り気にならない話だ。

私が丁寧に断ると、その男は「ならば力尽くで行く」と云い、その直後数名の男に囲まれ、私は連れ去られた。



其れからは…まあ何と無く想像が尽くだろう。

連れ去られてからずっと考えていた脱出方法を昨日成功でき、今此処に居るという訳だ。

鏡花ちゃんが先刻襲われたのは、私を去らう日を見計らう為に観察していた時に私と居る鏡花ちゃんを見ていたからだろう。



「鏡花ちゃん、今まで不安な気持ちにさせて御免ね…。……ずっと、待ってたよね」

鏡花ちゃんは曖昧な表情を浮かべた。

「…私は、姉さんの気持ちを全く分かっていなかった…。先刻のは、御免なさい…」

莫迦か私は。鏡花ちゃんに此の様な表情をさせたかった訳じゃ無いだろう。

彼女の柔らかく温かい笑顔に惹かれて居たと云うのに。

此の笑顔を守ると決めたのは紛れも無い私だと云うのに。

「…鏡花ちゃん。実は私、捕らわれていた時、何時も鏡花ちゃんのことを考えてたの。

 鏡花ちゃんの笑顔を思い出すと元気が出るから。

 だから、何時も救われてたの。

 一人で怖くても、沢山の人に掴まれても、私が諦めなかったのは_____


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真っ直ぐな瞳に、又好きになって仕舞う。

「___鏡花ちゃん、貴方の御蔭なんだよ」

揺らがない、透き通っていて、力強い。でも何処か優しく美しい瞳。

此の世の善も悪も全て飲み込み、温かさに変えて仕舞いそうな笑顔。

「っつう……。」

「おおおおおおお!?何故泣いてるの!?な、何か御免ね!?」

嬉しすぎて。

姉さんがそう思ってくれて居た事が。

誰かに感謝される事が。

「っ有難う…姉さん…」

「え…うっううんうん//!」



「此れからも…一緒に居よう…?鏡花ちゃん。/姉さん」




「大好きです」


貴方の後ろ姿を見ているだけじゃ嫌。もっと色んな処から君を知りたい。

榎本貴音 甘い青春と親友→←泉鏡花 貴方の後ろ姿 ※百合注意


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作者名:玲雨 | 作成日時:2018年5月29日 16時

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